楽天-ロッテ戦前に選手ら黙祷 田中将大や震災で父亡くした佐々木朗希の姿も
スコアボードには半旗、岩手県出身の銀次「心の痛みは簡単には戻らない」
■楽天 – ロッテ(オープン戦・11日・静岡)
東日本大震災発生からちょうど10年を迎えた11日、楽天-ロッテのオープン戦(静岡)の試合前に、両軍の監督、コーチ、選手が1分間の黙祷を行った。午後1時のプレーボール前、楽天ナインは一塁線、ロッテナインは三塁線に沿って整列。スコアボードには半旗が掲げられた。
2011年3月11日、震災が発生した午後2時46分当時、楽天は遠く離れた兵庫県明石市でロッテとオープン戦を行っていた。本拠地・仙台に家族を残していた選手も多く、即座に仙台に帰ることを望む声も多かったが、球団は被災地の状況も考慮し、他の地域で練習しながら調整を続ける選択。割り切れない思いを抱えた選手たちが仙台に戻ることができたのは、発生から約1か月後の4月7日のことだった。その後は球団ぐるみで被災地の支援活動に取り組んできた。2年後の2013年には球団創設初優勝と日本一を達成し、地元のファンを喜ばせた。
この日は、8年ぶりにチームに復帰した田中将大投手も列に加わり、思いを寄せた。自身は2011年に19勝(5敗)を挙げて自身初の最多勝に輝き、2013年には24勝0敗という超人的な活躍で優勝の原動力となった。一方のロッテ側には、岩手県陸前高田市生まれで、震災で父と祖父母を津波で亡くした佐々木朗希投手の姿もあった。それぞれが10年の時の流れに思いを馳せ、被災者への継続支援を心に誓った。
岩手県出身で楽天ひと筋16年目の銀次内野手は試合前に取材に応じ、「人の心の痛みは、簡単には戻らないと思っています。その中で球団としても、個人としても、何ができるのかを考えながら、これから先もやっていかないといけない。一生忘れちゃいけないと思います」と強調。自身も自宅で日頃から「避難用のバッグを常に見える場所に置いて、いつでも逃げられるように、玄関に意識を置いています。準備は大事だと思います」と明かした。
楽天では毎年1月ごろに新人選手が被災地を訪問しており、最近はコロナ禍で自粛の雰囲気だが、被災地での少年野球教室、学校訪問も行ってきた。銀次は「その中で被災地からプロ野球選手を出すことができれば、盛り上がると思う」と語った。
試合前の練習では、全選手が「がんばろう東北2021Tシャツ」を着用。背中に石井一久監督と全選手のサインをあしらったデザインで、この日から球団オンラインショップで受注販売が開始され、売上の一部は日本NPOセンターへ寄付されるという。球団によるとこの日、本拠地の仙台市・楽天生命パーク宮城、2軍が試合を行う埼玉県所沢市・CAR3219フィールドにも半旗が掲げられ、球団職員は事務所で発生時刻の午後2時46分に黙祷を行う。