ケガと向き合った中日・松坂が得た教訓 「同じことを繰り返したくはない」
飛ばしすぎた昨季「去年はそれで失敗をしているので」
第1クール最終日の5日、今キャンプ2度目のブルペン入りをした中日・松坂大輔投手。この日は初めて捕手を座らせて13球を投げ、カーブ以外の変化球もスライダー、カット、チェンジアップなど複数を投げた。捕手を立たせた状態と合わせて56球を投げた右腕は、前回と同じ7割くらいの力で投げたというが、ミットに収まる直球は乾いた音を響かせた。
西武時代の先輩でもあり、現在は中日で国際渉外担当を務めるデニー友利氏は「今の時期に、あれだけ投げられれば十分」とうなずく。「38歳になるんだから、全盛期と同じようには投げられない。でも、現時点のいい形には少しずつ前進していると思います。故障明けだから少し後戻りすることもあるかもしれないけれど、前に進んでいるということが大事。球団から何をやれというのはない。いい形で投げられるように、自分のペースで調整してくれればいいですよ」と復活までの道のりを急がすことはない。
この日はあいにくの寒空。気温は10度ほどで雨が降る中でのブルペン入りだった。「無駄な力が入る場面が多かった。思い通りに投げられた球ももちろんありますけど、練習からなるべくミスを減らしたいという気持ちがある。次回はいつ入るか決めてないですけど、もう少しミスを減らせるようにしたいです」と納得がいく内容ではなかったが、「改めてユニホームを着て練習ができる喜びは感じながら練習はしていると思います」と笑顔を見せる。
体の調子はいいだけに、一気に飛ばしたくなる気持ちを自制しながら、慎重に復活の道を歩むが、そこには過去の反省が生かされている。
「(体の状態は)去年もよかったんですけどね、去年はいいまんまっていうか、飛ばせるならどんどん投げてアピールしていこうっていう気持ちがあった。去年はそれで失敗をしているので(苦笑)。同じことを繰り返したくはないので、(自制するのは)そんなに難しいことじゃないです」
中日のユニホームを着て1軍のマウンドに立つ日まで―。ベテラン右腕の挑戦は続く。
(佐藤直子 / Naoko Sato)