「手の内を明かすわけには…」 指揮官脱帽、田中将が“目的意識”を凝縮した65球

楽天・田中将大【写真:荒川祐史】
楽天・田中将大【写真:荒川祐史】

高めの速球で釣り、変化球で打たせて取る頭脳的な投球で5回1失点

■楽天 3-1 DeNA (オープン戦・14日・静岡)

 8年ぶりに楽天に復帰した田中将大投手は14日、DeNAとのオープン戦(静岡)に先発して5回4安打3奪三振、自身の二塁悪送球による1失点のみに抑えた。練習試合を含め、日本球界復帰後4試合目の実戦登板で、「自分の感覚では1番良かった」と納得顔。次回登板の20日の巨人とのオープン戦(東京ドーム)を経て、いよいよ公式戦開幕を迎える。【宮脇広久】

 ここぞの場面でストレートで押しまくっていた8年前のイメージとは違った。この日は、ストライクともボールとも言えるような高めの速球で釣りながら、スプリット、ツーシーム、カットボール、カーブ、スライダーと多彩な変化球を駆使して打たせて取った。

 失点した直後の4回無死一、二塁では、右の大砲・細川に対し、内角高めの142キロのツーシームを打たせ、遊ゴロ併殺打に。「あそこまで高い所を狙ったわけではないが、詰まらせたのは狙い通り」と、してやったりの表情を浮かべた。

 石井一久監督は「目的意識が明確な、すごくいい投球だった。ゴロを打たせたい所ではゴロになる球種をチョイスし、コントロールも良かった。テーマを持ってピッチングをしてくれた」と称えた。小山伸一郎投手コーチも「今日の彼のテーマは『打たせて取ること』。それが実践できたと思う」と説明。「これまでの登板では、球数が増える場面があったが、今日は計算通りだったと思う」とも評した。この日の投球数は65球。9回に換算すると117球の完投ペースだった。

 変化球で打たせて取る、技巧派の一面を見せた32歳のマー君。「今季はこういった投球パターンが多くなるのだろうか?」。そう聞かれると、少し思わせぶりに「さあ、それはどうでしょうねぇ? 手の内を明かすわけにはいきませんねぇ」と言った。いずれにせよ、7年間のメジャー生活で引きだしを増やし、ピッチングの幅を広げて帰って来たことは間違いない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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