「そうそう前に飛ばない」鷹・工藤監督も絶賛する最速157キロ右腕の率直な心中は?
16日のDeNA戦で8回のセットアッパーを任され、1回をパーフェクトに抑えた杉山
■ソフトバンク 1-0 DeNA(オープン戦・16日・PayPayドーム)
圧巻の投球だった。16日にPayPayドームで行われたDeNAとのオープン戦。1点リードの8回に「勝利の方程式」を担うセットアッパーとしてマウンドに上がったのは3年目の杉山一樹投手だった。
その初球。力強いフォームから放たれた真っ直ぐは自己最速タイの157キロ。続く2球目も同じく157キロを計測し、桑原を右飛に打ち取った。続く牧に対しても155キロ超を連発して空振り三振。細川も150キロ台半ばの真っ直ぐとフォークで空振り三振に斬った。2つの三振を奪い、1イニングをパーフェクトに封じた。
セットアッパーのモイネロの調整が遅れており、まだ実戦登板をできていない。開幕に間に合わない可能性が高く、工藤公康監督ら首脳陣はモイネロに替わる“8回の男“として杉山に白羽の矢を立てた。この日の右腕はそのテストとしてマウンドに上がり、強烈なインパクトを残した。工藤公康監督は「あのボールを投げられたら一安心。そうそう前に飛ばない」と絶賛していた。
ただ、杉山自身はまだ納得していない様子。試合後には「まだ信頼を獲得できていない。オープン戦で投げるところでしっかり抑えることを意識したい。中継ぎは相手を圧倒できないといけない。もっといいボールを投げられるようにしたい」と語り、更なるパワーアップを誓っていた。
キャンプから開幕ローテ入りを争っていた杉山だが、モイネロの開幕不在危機などのチーム事情もあって中継ぎに配置転換になった。志半ばでの中継ぎ起用に、率直な心中を「先発をやりたいという気持ちがなくなることはないと思います」と明かしつつ「とにかく1軍で経験をしないといけない。任されたポジションで信頼を得て、杉山に先発をさせたいと思わせるようにしていくのがいい気がしています」と語る。
開幕にモイネロが間に合わないという緊急事態。2年連続リーグ優勝、5年連続の日本一を目指すソフトバンクにあって、序盤の救世主になるのは、この杉山かもしれない。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)