開幕直前に主力が2軍戦へ 鷹・工藤監督が語る珍しい調整法の意味

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

全体練習が行われる傍ら、一部の主力選手はタマスタ筑後での2軍戦へ

 ソフトバンクは23日、本拠地PayPayドームで26日のペナントレース開幕に向けて全体練習を再開させた。柳田悠岐外野手や開幕投手を託された石川柊太投手らがほとんどの選手が本拠地で汗を流す一方で、アルフレド・デスパイネ外野手やジュリスベル・グラシアル内野手、甲斐拓也捕手ら一部の選手はタマスタ筑後で行われたウエスタン・リーグのオリックス戦に出場していた。

 シーズン開幕まであと4日。再開された全体練習に一部主力選手の姿はなかった。開幕2カード目初戦となる3月30日のオリックス戦に先発する笠谷俊介投手をはじめ、デスパイネ、グラシアルのキューバ人助っ人、正捕手の甲斐、さらには栗原陵矢捕手、周東佑京内野手らが2軍戦に出場。シーズンの開幕に向けて、実戦を通じて調整することを選択した。

 工藤監督はこの日の練習後に「強制というわけではない」と明かし、選手個々人の希望でファームでの実戦出場になったという。笠谷はもちろん1週間後に備えた調整登板。デスパイネとグラシアルの2人はオープン戦の出場期間が短かったこともあり、実戦機会の場を重ねるため。グラシアルはこの日、初めて左翼の守備にも就き、調整の段階をまた一段階あげたことになる。

 栗原、周東の2人はオープン戦でなかなか結果が出ていなかった。全体練習で開幕まで調整するのではなく、実戦を通して自身の打撃の状態を上げることを狙ったのだろう。最も異例と思われたのは甲斐。2軍戦での出場は例年とは違う。

 工藤監督は「千賀も投げるし、笠谷が投げることもあったし、自分のバッティングのこともあったのかもしれない」という。この日の先発は笠谷、そして2番手では盟友の千賀が登板した。ここまで甲斐はリハビリ組調整だった千賀のボールを受けられていなかった。笠谷の状態確認とコミュニケーションに加え、エースのボールを受けられるタイミングで受けておきたい、という狙いもあったのかもしれない。

 直前の全体練習は開幕に向けてチームの士気を高めていく意味合いもあるかもしれない。この日も工藤監督が訓示したように、指揮官がチーム全体にメッセージを発することもある。全員が揃って練習することで一体感が生まれると考えることもできる。

 だが、工藤監督は「そういう使い方をするのも1つの方法だと思います。僕の話を聞くためにここに集まれとは思わない。自分たちの準備なんで、チームとしてやることもあると思いますけど、個人の準備が大事。ファームの試合に行きたいと言うのはすごくいいことだと思いますよ」と語る。開幕直前に重要なのは、各々がシーズンに向けて抜かりない準備を整えること。そのための方法については、たとえ全体練習を離れようとも問わないというのだ。

 4年連続で日本一になり、その戦いぶりから見ても、チームの一体感は申し分ない。選手個々が自分のやるべきことを心得ているのもソフトバンクの強み。勝ちを知る“常勝軍団“だからこそ、個人に焦点を当てた調整方法が可能なのかもしれない。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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