大谷翔平、二刀流復活の鍵は新球にあり? 復活勝利で見せた“動く球”の可能性
1072日ぶり復活勝利を挙げた投球で“動くボール”を投じた
■エンゼルス 9ー4 レンジャーズ(日本時間27日・テキサス)
エンゼルス・大谷翔平投手が26日(日本時間27日)の敵地・レンジャーズ戦で1072日ぶりの復活勝利を挙げた。初回に4失点したものの、2回以降は立ち直って5回9奪三振3安打4失点。自ら追撃の2点二塁打を放つなど今季7度目のマルチ安打と奮闘して、チームを逆転勝ちへ導いた。スプリットで生じた右手中指マメの影響で5回降板となったが、全75球の中には今季から投じる新球もあった。【小谷真弥】
初回無死一塁。大谷はカイナーファレファへの2球目、88.8マイル(約143キロ)の球で中直に打ち取った。代名詞の160キロに迫る剛速球でもなければ、130キロ前後で大きく横曲がりするスライダーでもない。球速を保ちつつ少しだけスライドするボール。報道陣から「カットボールのような球種があった。あれはスライダーか、新しい球か」と問われた大谷は、こう答えた。
「小さくて速いのと大きく曲がるスライダー。どちらもスライダーで、カットとも言えるかなと思う。呼び方はどっちでもいいかなと思っています」
しかし、同1死一、二塁から4番・ロウに甘く入った“新球”を捉えられて右越え3ラン。大リーグ公式サイトで「カットボール」と表示された新球は2回以降は“封印”され、全75球のうち5球のみだった。結果は中直、ボール、3ラン、ボール、ボール。この日の武器にはならなかったが、投手・大谷の新たな引き出しが見えた。
メジャー移籍後、大谷が投じるのはフォーシーム、スプリット、スライダー、カーブと主に4球種。今春キャンプでは日ハム新人時代に投げていたチェンジアップを試投し、「久々に投げて変化も良かった。落ち球としてより横の変化として投げたい」と語っていた。新たな球種にも意欲的で、これまでレパートリーになかったボールを完全マスターすれば、相手打者にだって脅威となる。
今季のフォーシームは平均球速97.0マイル(約156.1キロ)で回転数2410。メジャー1年目の2018年の平均球速96.7マイル(約155.6キロ)、回転数2164から上がるなど剛速球の威力は増している。驚異の奪三振率15.15と打者をねじ伏せるパワーピッチングは大きな魅力だが、バットの芯を外して簡単にアウトを奪っていく投球もできれば……。これが二刀流シーズン完走の大きな鍵を握っている気がする。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)