「最近の若い投手」とは違う変化球… プロ初登板で見えた佐々木朗希の“本当の凄さ”
17日にいったん抹消「今季何勝できるかは重要でない」
■ロッテ 6ー6 西武(16日・ZOZOマリン)
最速163キロを誇るロッテの佐々木朗希投手が16日、プロ2年目にしてついに1軍デビューを果たした。本拠地・ZOZOマリンスタジアムでの西武戦に先発し、5回107球、6安打5奪三振4失点(自責点2)。降板後に4番手の唐川侑己投手が2点リードを追いつかれ、試合は6-6で引き分けた。プロ初白星こそお預けとなったが、見せつけた実力の片鱗。元プロが目を見張った“令和の怪物”の本当に凄い所とは――。
「ストレートはさすがに力強い。完璧にとらえられた真っすぐは1球もなかった。一級品の素材であることは間違いない」。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で計21年間捕手として活躍した野球評論家、野口寿浩氏は佐々木朗の投球をこう評した。
球種はストレート、フォーク、スライダーの3つ。2回2死走者なしでは、スパンジェンバーグをカウント2-2からこの日のMAX154キロで空振り三振に仕留めた。「150キロを下回るストレートがほとんどなかったのは凄いこと」と野口氏は言う。
実際、4回までにストレートの球速表示が150キロに達しなかったのは1球のみ。4回2死二塁で若林に対し、カウント3-0から真ん中でストライクを取った球が149キロだった。5回を迎えるとさすがに「149キロ」の表示が増え、最後の打者の呉を中飛に打ち取ったストレートは147キロだったが、それでもスピード感は十分だった。
フォークの威力は予想以上だ。5奪三振のうち4つのウイニングショット(空振り2、見送り2)となった。「最近の若い投手は、スピードがあって落差の小さいスプリット系のフォークを投げる傾向が強く、その中で佐々木朗の落差の大きいフォークは珍しい。低めに投げて空振りを取るだけでなく、高めのボールゾーンからストライクゾーンに落とせるのも強み」と野口氏は指摘する。5回1死三塁のピンチでは、4番・山川に対してカウント1-2から内角高めにフォークを投じ、バットを出させず見逃し三振に切って取った。
19歳の肉体はまだまだ発展途上で、起用は慎重を要する。野口氏も「今年中に中6日で投げることはないでしょう。今季何勝できるかは重要でないし、本人も井口監督も気にしていないと思う。来年なのか再来年になるかはわからないが、近い将来、開幕投手を務めて1年間先発ローテを守り、きっちりチームの勝ち頭になるための準備を始めたばかりの段階です」と見る。ファンが確信を持ってその日を待つに値する内容を、佐々木朗は1軍初登板で見せてくれた。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)