「問題は打てるか打てないか」侍J稲葉監督が語った…右脇腹痛、柳田出場の条件
万が一に備え鈴木誠也、近藤健介が中堅守備練習
ギータは本当に大丈夫か。東京五輪に出場する野球日本代表「侍ジャパン」は、19日から仙台市の楽天生命パーク宮城で強化合宿を一般非公開で行っているが、主力として期待されるソフトバンク・柳田悠岐外野手は右脇腹の違和感を抱え、2日続けて別メニュー調整となった。ドミニカ共和国との初戦(福島あづま球場)は28日に迫っている。
柳田は19、20日の両日、キャッチボールと守備練習は行ったものの、フリー打撃を回避した。稲葉篤紀監督は「見ての通り動けているが、無理するところではないので、こちら(首脳陣)から本人に我慢してもらっている」と軽傷を強調しつつ、「ギータをDHで起用することは考えていません。投げることと走ることは普通にできる。(問題は)打てるか、打てないか」と語った。
守っては中堅手として広い守備範囲と強肩を誇り、打っては日本人離れしたパワーを見せつける“超人ギータ”。打順は1番もしくは3番が予想されていた。万が一打席に立てないとなれば、侍ジャパンの一大事である。合宿2日目の20日には、広島・鈴木誠也外野手と日本ハム・近藤健介外野手が急きょセンターの位置でノックを受けるなど、あわただしく動いた。
柳田は17日の球宴第2戦で右脇腹の違和感を発症。翌18日にMRI検査を受け、「骨には異常なし」と診断されたが、脇腹は打撃において重要かつデリケートな箇所だけに心配は尽きない。1度痛めると再発しやすい部位でもある。
過去の国際大会では、日の丸を背負う戦いに、怪我を押して臨んだ選手は数多い。2008年北京五輪では、当時阪神の新井貴浩氏が腰痛を抱えながら全試合4番を務めたが、帰国後に腰椎の疲労骨折が判明。ペナントレース後半戦出場に支障をきたした例がある。
稲葉監督も北京五輪には外野手として出場したが、臀部に痛みを抱えていた。「星野仙一さん(当時の日本代表監督)から『出たいのか、出たくないのか、どっちや!?』と聞かれて、『出たいです』と答えました。怪我をしてもいいという覚悟でしたし、日の丸に捧げる思いがありました」と振り返っている。
稲葉監督にとって柳田は、「私が監督就任時から理想とする“スピード&パワー”を具現化してくれる中心選手」と表現するほど欠かせないピースだ。万全に近い状態で試合に臨めるかどうかは、金メダル獲得の成否に大きく関わる。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)