大砲候補を指名も“示せぬ成功例” 敵は本拠地…中日に立ちはだかる「20発の壁」
ドラフト1位で上武大・ブライト、2位で駒大・鵜飼を指名
中日は11日のドラフト会議で、貧打の解消に向けた一手を打った。右の長距離砲であるブライト健太外野手(上武大)をドラフト1位で、パワーが売りの鵜飼航丞外野手(駒大)を同2位で指名。待望し続けてきた和製大砲と、両翼にぽっかり空いている外野のレギュラーの“一挙両得”が期待される。しかし、近年を振り返ってみると成功例は少なく、現状でも助っ人頼みは否めない。
8年ぶりにAクラス入りを果たした昨季からは一転、今季は序盤から苦戦を強いられた。最大の要因として挙げられるのが、12球団ワーストの得点数と、リーグワーストの本塁打数。屈指の投手陣が踏ん張っても、点が取れずに星を落としたのは1試合や2試合じゃない。就任3年目の与田剛監督は退任することになり、名実ともに2022年以降からの生まれ変わりが求められる。
ビシエドはチームトップの本塁打数ながら、17発どまり。2018年に来日最多26発を放って以降、20発には届いていない。日本人のトップは今季、木下拓哉捕手の11本が最多。2020年は阿部寿樹内野手の13本、2019年は福田永将内野手の18本と“20発の壁”が立ちはだかっている。
野手たちに重くのしかかるのは、広い本拠地。“ピッチャーパーク”と呼ばれるバンテリンドームでは「神宮なら……」「東京ドームなら……」との嘆きも出る。一発が望めない中、大振りするよりも率を残そうと中距離打者になってきた“過去の大砲候補”たちがいる側面も否めない。
加えて、和製大砲として“独り立ち”できない現状も滲む。福田は2017、19年といずれも18本塁打を放っているが、2020年以降は故障の影響もあって1桁に。33歳を迎え、ベテランの域に入ってきた。若手に目を向けると、5年目の石垣雅海内野手はキャンプから1軍に抜擢されていたが、シーズンでは2軍暮らしが中心。2019年のドラフトで3球団競合の末に獲得した石川昂弥内野手もまだ2年目で、時間がかかる可能性もある。
近年では“先例”がない状況で、ブライトや鵜飼は真の大砲となることができるか――。“金の卵”たちが持つポテンシャルと、新体制で迎えることになる首脳陣の手腕にかかっている。