「何をするかわからない」 同学年の日本ハムOBが語る新庄監督の“怖さと強み”
データでは「ここが弱い」はずのコースを平気で打つ勝負強さ
就任早々、独特の言動で球界を席捲している日本ハム・新庄剛志新監督。新庄監督とは同学年でプロ入りも同期、現役時代に捕手として何度も対戦した野球評論家・野口寿浩氏が見解を語った。
「新庄という打者は、走者なしで対戦する時には淡泊で、全く怖くない。ところが、チャンスでは誰よりも勝負強かった。こちらが試合前のミーティングでデータを基に『新庄はここが弱い』と打ち合わせていたコースさえ、平気で打っていた」。野口氏はそう振り返り、「おそらく本能で打っていたのだと思いますが、ひょっとするとこっちが“泳がされて”いたのではないかと、何度か疑心暗鬼にさせられました」と述懐した。
走者のいない場面ではわざと凡退し、餌をまいていたのではないか──相手バッテリーがそう勘繰るほど、チャンスの時とそうでない時の新庄監督は別人だったのだ。
何を考えているのか計り知れないところは、監督・新庄も同じだ。「正直言って、良くも悪くも、全くわからない。どんな野球をやるのか、何をしでかすかわからない不気味さは、相手チームにとって脅威、日本ハムにとっては強みですよ」と野口氏は指摘する。
野口氏は1971年6月、新庄監督は72年1月生まれの同学年。野口氏は1989年ドラフト外で千葉・習志野高から捕手としてヤクルトへ、新庄監督は同年ドラフト5位で福岡・西日本短大附属高から外野手として阪神へ入団した。野口氏はその後、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)を渡り歩き計21年間活躍したが、新庄監督とは在籍期間が合わず、チームメートになったことはない。レギュラーシーズンや交流戦で、マスク越しに打者・新庄と対戦した。
「新庄監督誕生で、これまで野球に興味がなかった人々も注目するだろうし、札幌ドームから足が遠のいていたファンも戻ってくる。(2023年春、北海道・北広島市に開業予定の)新本拠地球場との相乗効果も期待できる。もうそれだけで、球界への貢献度は特大でしょう」と野口氏。ド派手な同級生の球界復帰に胸を躍らせている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)