議員と監督“異色のパラレルキャリア” 野球エリートが北の大地で注ぐ情熱

北広島市議会議員で北海学園大硬式野球部監督も務める島崎圭介さん【写真:石川加奈子】
北広島市議会議員で北海学園大硬式野球部監督も務める島崎圭介さん【写真:石川加奈子】

島崎圭介さんは日本ハム新球場が建設される北広島市の市議を務める

 市議会議員になった元甲子園球児の夢が、花開こうとしている。2023年春に北海道北広島市で開業する日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」。立候補当時、目標に定めた2軍戦を誘致できる硬式球場は、世界に誇る開閉式屋根を持つ天然芝のボールパークへと変わった。北海学園大硬式野球部監督も務める島崎圭介さんは、なぜ北広島市議会議員になったのか。議員の仕事と野球の両立はどうしているのか。球界でも異色の“二刀流監督”に迫る前後編の前編。

 現在2期目の島崎さんは男性議員最年少の50歳ながら、議会運営委員長の要職に就き、自民党会派の幹事長も務めている。「僕が小さい頃に北広島団地ができ、当時は子どもも多くて最盛期でした。人口減少には勝てないですけど、ボールパークもあるし、楽しいし、ここに住みたいねと思ってもらえる街にしたいです」。眼前に広がる新球場建設の様子を眺めながら、故郷の発展にかける思いを熱っぽく語った。

 北広島市に引っ越したのは3歳の時。小、中と地元の野球チームで活躍し、北海高では投手として3年夏の甲子園、北海学園大では2年春の全日本大学選手権に出場した。プロ2球団から調査書が届いて期待したドラフト会議では指名がなく、NTT北海道に進み、都市対抗にも2度出場した。25歳で現役引退した後は働きながら教員免許の資格を取って札幌日大高の教員に転職。監督として2002年春の甲子園も経験した。

 選手としても指導者としても成功体験を持つ野球エリートが政治に興味を持ったのは、民主党が政権を取った2009年だった。中学の先輩が北広島市議会議員補欠選挙で当選。議員はどういうことをするのか調べているうちに、当時の事業仕分けで総合運動公園建設の事業費がカットされたことを知った。

 総合運動公園には市内初となる硬式野球場の建設も含まれていたため、憤慨した。同時に、どうしたら実現できるのかを真剣に考えた。「議員という立場になれば政策提案できると思い、勉強を始めました」。2013年に自民党の政治塾に飛び込み、政策提案すれば市を動かせることを学んだ。「市民としてやりたいと思っても、議会が反対すればできませんから」。総合運動公園の実現を旗印に2015年春の選挙に立候補し、30人中3位の得票数を得て初当選した。

北海学園大監督として30年ぶりに全日本大学選手権出場を果たす

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