マリーンズJr.で出会い切磋琢磨 楽天ドラ1吉野と日ハムドラ2有薗が誓う「HR王争い」

有薗直輝と吉野創士が所属したマリーンズジュニア【写真:有薗本人提供】
有薗直輝と吉野創士が所属したマリーンズジュニア【写真:有薗本人提供】

昌平・吉野と千葉学芸・有薗はメールなどで“野球談議”を交わす仲

 12月28日から神宮球場と横浜スタジアムで行われる「NPBジュニアトーナメント」。そこで出会った2人が、ともにドラフトで上位指名を受け、プロ野球の扉を開く確率はどれほどあるものなのだろうか。この秋、そんな“奇跡のコンビ”が誕生した。楽天から1位指名を受けた昌平高(埼玉)の吉野創士外野手と、日本ハムに2位指名された千葉学芸高の有薗直輝内野手だ。小学6年で選ばれたマリーンズジュニア時に一緒に撮った写真では、2人は仲睦まじそうに見える。

 千葉県旭市出身の有薗は吉野と初めて対面した時、「自分より全然上だ」と感じたという。実際にレギュラーだった吉野に対し、有薗は代打出場がメインだった。中学では有薗が千葉の強豪・佐倉シニア、吉野は東京城南ボーイズと別の連盟に所属。高校も別々の県に進んだ。会う機会はほとんどなかったが、メールで連絡は取り合った。内容はもっぱら野球に関すること。打撃技術について考えを伝え合った。

 高校2年の夏を終え、吉野が打撃不振に陥った時は有薗が支えになった。自身の打撃動画を有薗に送ると、体の開きやスイング軌道について細かな助言をもらった。そのおかげか秋の大会で打率.591、3本塁打と大爆発した吉野は、有薗の存在を「常に刺激になっていました」と力に変えてきたことを明かした。

 2人はドラフト会議前、同じことを口にしていた。

「本塁打王争いがしたい」

 ともに高校球界屈指の長距離砲と注目され、競い合ってきた。お互いの活躍をニュースで知ると「また打ってるじゃん。すごいね」と連絡を取り合った。認め合い、切磋琢磨し、高校3年間で積み上げた本塁打は有薗が70本、吉野が56本。ドラフト上位でプロへの切符を手にした2人が1軍の舞台で本塁打王を争うような活躍をした時、きっと打った方にこうメッセージを送るはずだ。「また打ってるじゃん。すごいね」と。小学6年生から育まれてきた友情は、これからも続いていく。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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