「究極に挑みながらやっていた」日本ハム万波が圧倒された新庄監督の超・技術論
メジャーに憧れる万波の前に現れた最高のお手本
日本ハムの万波中正外野手は、2019年に横浜高から入団し今季4年目。昨季は1軍49試合で5本塁打し、開花が期待されるスラッガー候補だ。ただ今が伸び盛りの選手が、新庄剛志監督の技術論には“圧倒”されっぱなしだったという。いったいどんな内容だったのだろうか。
万波が「予想を上回るような、というか……。究極に挑みながらやっていたのかなと、教わった内容から感じました」と振り返ったのは、5日のシートノックの際に外野陣が集まって指揮官から受けた講習だ。万波は投げる動作への移行を考え、打球を捕る際には微妙にスピードを落とし「合わせる」ことがあったという。ただ新庄監督からのアドバイスは、その発想を完全否定するものだった。
「ビッグボスは100%で打球にチャージして、一切合わせていないんです。そのまま勢いで投げるんです」。しっかり打球を処理できるなら、スピードを落とさず打球に向かい、投げた方が速いのは自明、まさに究極の技術論だった。
そして、打撃でも驚きがあった。5日午後、万波はソフトバンク・モイネロが“登板”するバーチャル投球マシンと対戦した。日本球界でも、投球の高速化は止まらない。始動を早くし、速球に対応することが目的の練習で、万波はなかなか打球を前に飛ばせなかった。
すると新庄監督は「ボールの下を振って空振りやチップになるのなら、ボールを上から削り取るようにしたら? 俺はそれでメジャーの投手も打てた」とアドバイスしたというのだ。
万波は高校時代から、卓越したパワーとスピードを誇る大リーガーへの憧れを口にしている。そして新庄監督はメッツ、ジャイアンツ、再びメッツと渡り歩き、米国でも守備力が高く評価された名手だ。「理解できていない所もいっぱいありますが、まずはやってみようと思っています」と話す万波は、憧れの世界からやって来た“最高のお手本”を得てどんな進化を遂げるだろうか。
(羽鳥慶太 / Keita Hatori)