「新庄監督の減量指令に賛成」 ハムOBが指摘、清宮は「昨年までふにゃふにゃ」
田中幸雄氏「昨年まで体幹がしっかりしていない印象があった」
新庄剛志監督の下、昨年の5位から上位進出を目指す日本ハム。昨年プロ初の1軍出場機会なしに終わった清宮幸太郎内野手は「BIG BOSS」の指令を受けてこのオフ、9キロの減量に成功した。1月中旬に新型コロナウイルスに感染し、キャンプはBOSS組(2軍)スタートとなったが、5年目の今季は飛躍できるだろうか。現役時代に通算2012安打をマークして「ミスター・ファイターズ」と呼ばれ、引退後もコーチや2軍監督を歴任した野球評論家・田中幸雄氏が可能性と課題を分析した。
昨年1軍ではチャンスを得られなかった清宮。2軍では19本塁打を放ち、西武・渡部健人内野手とともにイースタン・リーグ本塁打王となった。一方で打率は.199(392打数78安打)、三振もリーグ最多の113に上った。「飛ばす力は抜群で、真ん中外寄りに“ツボ”を持っているけれど、コンタクト力が低かった。特にフォークなど落ちる球に対応できていなかった」と田中氏は指摘する。
新庄監督が課した減量指令に田中氏も賛同する。「仮に僕がコーチだったら、同じことを考えたと思う」と言う。「昨年まではふにゃふにゃして、体幹がしっかりしていない印象があった。軸がぶれれば目線もぶれる。体重を落とし、筋量を増やすことによって軸がしっかりすれば、体勢を大きく崩されることが少なくなる。体にキレが生まれ、ボールを手元まで引き付けられるようになり、ボールになる変化球に手を出さなくなる効果も期待できる」と説明する。
減量は守備面にも好影響を与える。昨年はイースタン・リーグの一塁手として断トツの12失策。守備に不安を抱えていては、よほど打たない限り1軍出場機会は巡ってこない。「前後左右の動きにスピードがなく、守備範囲も狭かった。足の運びが速くなれば、守備も良くなる」と田中氏はうなずく。
「新庄監督の性格からいって、ただ痩せろと言ったわけではないはず。理由をきちんと説明し、本人も納得したからこそ、あれだけの減量に踏み切ったのだと思う」と田中氏。日本ハムは昨年、チーム打率がリーグワーストの.231、チーム本塁打数もワーストで唯一2桁の78本に終わった。高校通算111本塁打をマークしたスラッガーの覚醒が待たれる。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)