2軍監督、スカウト部長は“プロの入口” 元巨人・岡崎郁氏が“出口”のために歩む今
現役時代は強打の内野手としてファンに愛された男が次に進む道とは?
1980年代中盤から90年代にかけて巨人で強打の内野手として活躍し、第58代巨人軍4番打者にもなった岡崎郁(おかざき・かおる)氏は、現役引退後も巨人で1軍ヘッドコーチ、2軍監督、スカウト部長など要職を歴任。幼児・小学生向けのジャイアンツアカデミーの校長を最後に、昨年限りで退団した。巨人に33年間、身を置いた。そして60歳となった今、新たな人生に踏み出そうとしている。
岡崎氏が現在、最も強い思いを抱いて準備を進めているのが、志半ばでプロ野球界に別れを告げた選手のセカンドキャリアを支援するための人材派遣会社を立ち上げることだ。
NPBでは毎年、新人選手と入れ替わり、100人前後の選手がユニホームを脱ぐ。輝かしい実績を残し、指導者や解説者として球界に関わり続けることができるのはほんの一握り。大半は人知れず消えていく。スカウト部長を3年間、2軍で監督・コーチを計8年間務めた岡崎氏は、そんな姿を複雑な思いで見送ってきた。
「僕はスカウト部長として選手たちのプロ生活の“入口”に立ち会い、2軍の指導者としては全員を1軍に定着させるつもりで教えました。しかし、実現できる選手は10人中1人くらい。“出口”でセカンドキャリアに向けて、もっと選手たちの力になってあげられないか──と当時から考えていました」
岡崎氏は以前から知人の会社経営者らから、1・2軍問わず、プロ野球を引退した選手を社員として招きたい、という声を聞いていた。
「その理由を尋ねると、皆さん口をそろえるように『体力と根性があるから』とおっしゃいます。確かに、体力と根性が無くて、プロ野球選手になれた人はおそらくいない。どんな会社に入るにせよ、最初は小さな歯車として働くことがほとんどでしょうから、最初は体力と根性で仕事を覚え、徐々に専門的な知識や技術を身に着けていけばいいのかもしれません」
潜在的にプロ野球経験者を求めている企業側と、少ない“つて”を頼るしかない選手たちをつなげる役割を果たしたいと考えている。