“二刀流”挑戦中の鷹19歳育成右腕 小久保2軍監督も「ビックリ」の成長曲線
小久保2軍監督が名前を挙げた高卒2年目の桑原秀侍投手
28日に打ち上げとなるソフトバンクの宮崎キャンプ。育成主眼の若手が中心となるB組を指揮するのが、昨季1軍ヘッドコーチを務めた小久保裕紀2軍監督だ。今季は若手の育成を託された小久保2軍監督が春季キャンプの総括で「守備の上達ははっきり言ってビックリしました」と、名前を挙げて成長ぶりに目を見張ったのが、育成2年目で昨秋から投打二刀流に挑戦している桑原秀侍投手だった。
2020年の育成ドラフト3巡目で神村学園から入団した桑原。高校時代は最速149キロを誇る投手で、遊撃手や外野手としてもプレーしていた。ソフトバンクには投手として入団し、ルーキーイヤーは3軍戦で34試合に登板。昨秋に球団から投打二刀流への挑戦を打診され、秋季練習から野手の練習をスタート。この春季キャンプでは本格的に投手、野手双方の練習をこなしてきた。
小久保2軍監督の目を引いたのが、野手として挑戦している遊撃手での守備。高校時代に経験はあるものの、それは高校レベルでの話。イチから守備の基本を教え込まれているところだが、小久保2軍監督は「桑原の成長のスピードは速いです。野手としてね。松山(2軍守備走塁)コーチが付いて指導した後に、シートノックで見たら、毎回、はっきりと上手くなっている。彼のセンスの良さ抜きには語れないですけど、アイツのショートの守備の上達ははっきり言ってビックリしました」と語る。
選手としてのレベルは、まだ1軍には遥かに及ばない。荒削りな原石ではあるものの、この1か月間、日々、見て分かるほどに成長する桑原に小久保2軍監督は驚かされたという。「人って短期間でこんなに上手くなるんだな、と。試合ではまだ使えないんですけど、レベルは今宮、牧原、野村勇と比べたら全然ですけど、彼自身で見た時に第1クールと今を見比べたら全然違う、というくらい感じました」。
打者としても潜在能力は高い。まだ確実性こそ低いものの、当たった時の飛距離はB組の中でも指折り。見た目は細身な印象を受けるが、特打でも左翼の防球ネット上部に突き刺さる特大の打球を何度も放っており、現役通算413本塁打を放ってきた小久保2軍監督も「パンチ力はチームで1番、2番争うスイングスピードなんで。力的にはまだまだですけど、すごく伸びたな」と認めている。
キャンプ中は日々、野手と投手のメニューを日替わりでこなしていった。二刀流挑戦はソフトバンクでは初めてのこと。小久保2軍監督も「両方やりながら体持つのかな」と肉体的な負担を心配していたが、28日に打ち上げを迎えるキャンプも無事に完走できそうだ。すぐに支配下や1軍昇格となる選手ではないものの、3年後、5年後にどうなっているか。そんな“ロマン”を感じながら、今後の成長を見守っていきたい選手だ。