敵も味方も“強力打線” 初の2桁勝利へ…菊池雄星が直面する新天地の事情
ヤンキース、レッドソックスなどのア・リーグ東地区の強力打線
ブルージェイズと3年3600万ドル(約42億円)で契約合意に達したと報じられた菊池雄星投手。マリナーズが所属するア・リーグ西地区から同東地区に主戦場を移すことになり、取り巻く環境も変わる。味方も含め、東地区の球団は強力打線ばかり。メジャー4年目にして初の2桁勝利に向け、吉と出るか、凶と出るか。
3年間身を置いてきたア西地区では昨季、アストロズがメジャートップの打率.267、834打点と強烈だったが、他の3球団は破壊力に欠けるのは確かだった。アスレチックスとレンジャーズのチーム打率は20位以下。エンゼルスの190本塁打は19位タイでトラウトとレンドンの長期離脱が響いた。
一方の東地区は、レッドソックスは昨季メジャー3位の打率.261を誇り、強打者レンフローを今オフにトレードで失ったとはいえ打点は783(5位)、OPSは.777(3位)と高水準だ。レイズとヤンキースの222本塁打は6位タイ。特にヤンキースの四球数621はトップで、強打者への勝負の難しさもにじむ。レッドソックスはシュワーバー、レイズはクルーズ、ヤンキースはリゾのFA組の去就がどうなるかにもよるが、現状では昨季のア西地区より総合的に上のレベルだろう。
多く対戦する相手だけ見れば厳しい状況になるが、菊池にとっては心強い援軍がいるのも確か。昨季ブルージェイズの262本塁打とOPS.796は堂々のメジャートップ、打率.266と打点816は2位。大谷翔平投手とMVPを争った主砲ブラディミール・ゲレーロJr.らを筆頭に、実力者が居並ぶ。昨季45本塁打を放ったマーカス・セミエンが抜けた懸念点はあるものの、ある程度の援護は期待できる。
さらに打線だけでなく、菊池自身の“立ち位置”も影響してきそうだ。マリナーズでは先発陣の中では上位の存在だったが、ブルージェイズでは5番手になるとみられている。投げ合う相手先発の実力が変わってくる可能性もあり、白星を積み重ねるのに有利な状況となる。
昨季は前半戦で好投を続けながら、後半に失速。結果的に7勝9敗、防御率4.41で、3年連続で黒星が先行した。チームや環境の変化が、好転のきっかけになるか。4年目のシーズンで真価が問われる。