巨人戦力外から開幕投手候補!? 支配下即1回無失点の日本ハム古川侑が感じた「幸せ」
オープン戦5試合7イニングを投げて無失点
■日本ハム 4ー1 DeNA(オープン戦・20日・札幌ドーム)
日本ハムの古川侑利投手が20日、札幌ドームで行われた日本ハム戦で6回から4番手で登板。1回を無失点に封じた。これでオープン戦5試合7イニングを投げ無失点。この日支配下選手契約を結び再スタートを切った右腕は、マウンドで投げる喜びを噛みしめた。
ようやく掴んだ2桁背番号「91」のユニホームで、本拠地のマウンドに上がった。「ちょっと力みすぎて気持ちが入りすぎたというのはあります。でも温かい拍手をいただいたので、気持ちよく投げることができました」。気迫を全面に出し、最速150キロの直球を軸に無失点。2死から柴田に四球を与えたが、清水が盗塁を刺して打者3人で役目を終えた。
「戦力外になって、こうやって1軍、NPBのマウンドで投げられるのは当たり前じゃないんだと更に感じたので、またこのマウンドに戻ってこられたことを幸せに感じています」
新庄剛志監督の“秘蔵っ子”といえる。昨季限りで巨人を戦力外となりトライアウトを受験。視察したビッグボスは「なぜこの場にいるんだって。その時点で獲るって決めた」と“べた惚れ”したことを明かす。さらに春季キャンプから練習態度、マウンドでの姿を見て「即1軍で使えると判断した」と高く評価。武田投手コーチも「打者に向かっていく姿勢。もう一回野球をしたいという思いが全面に表れていた」と話す闘志あふれる投球が持ち味だ。
「育成という立場で入団して、絶対にこんなところで終わってたまるかという気持ちで臨んでいた」と振り返った古川侑。戦力外となっても「まだやれる」と背中を押してくれた妻、昨年6月に生まれたばかりの愛娘を思い「本当に家族も喜んでくれたのでホッとしていたと思います」と安堵した。
中継ぎでの開幕1軍入りが濃厚だが、実はこの日の試合前に行われた会見では、同席した新庄監督から「このオープン戦の結果、開幕投手あるんじゃない?」と驚きの言葉をもらっていた。これには「なかなか経験できることではないと思うので、させてもらえるならうれしいです」と応じた。
「とにかく僕はポジションとか投げる場所はどこでもいい。今年1年、楽しんでたくさん投げれるようにしたい」。戦力外から這い上がった古川侑が、北の大地でもうひと花咲かせる。
(町田利衣 / Rie Machida)