松坂大輔氏、東尾氏の孫へ200勝記念球を“返還” 24年前の約束を次世代に託す
AIG協賛の「MLBCUP 2021」活動プラン発表会に松坂氏、東尾理子さん、岩隈久志氏が出席
西武、レッドソックスなどで活躍した松坂大輔氏が23日、MLBジャパンが開催する「MLBCUP 2021」(AIGジャパンホールディングス協賛)の活動プラン発表会に出席。楽天、マリナーズなどでプレーした岩隈久志氏と、松坂氏が西武入団時の監督だった東尾修氏の長女で、野球少年の母でもある東尾理子さんとともに、トークセッションを行った。子どもたちの未来や、野球の魅力を語っていく中で、松坂氏は入団時に受け取った東尾修氏の200勝記念球を東尾家に“返還”する予定であることを明かした。
MLBCUPは、次世代を担う野球少年、少女に夢を与え、野球人口拡大に繋がる普及プログラムを創る目的で2016年に創設。小学4~5年生を対象とした大会で、決勝大会は宮城・石巻市で復興支援の一環として開催されている。
トークセッション中、理子さんが「1分ほどいいですか? 息子から松坂さんにメッセージがあるんです」と自身のスマートフォンを取り出すと、学童野球で汗を流す長男の理汰郎くんが松坂氏へ「応援よろしくお願いします」とコメントする心温まる動画を公開した。
すると、東尾修氏の話題に。松坂氏は1998年のドラフト会議で西武から指名を受け、横浜高から入団。交渉の席では、東尾氏の200勝の記念球を手渡された。自分が200勝して、その記念球を東尾氏に渡すことを胸に誓っていたが、現役生活では日米通算170勝に留まり、夢は叶わなかった。引退会見でも心残りだったことを明かしている。
引退後に対面した際「理子さんの息子さんに引き継いでもらっていいですか? お渡ししたいです」と伝えると、「自分で渡せ!」と言い放たれた。今はまだ松坂氏の手元にある。実はこの記念球、松坂氏が指名されるまでは理子さんの部屋に置いてあったという。思いの詰まったボールは時を経て、また理子さんの住む家に戻ってくる。東尾氏は理子さんから送られてくる理汰郎くんの動画や、学童野球の試合を優しい目で野球を見守っている。
祖父が築いた200個の白星、そして日米のファンを魅了した松坂氏の足跡が詰まったひとつのボール。それは“夢のバトン”として、未来のプロ野球選手へ受け継がれていく。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)