「今までのスタイルでやってくれ」 DeNA三浦監督が明かした佐野恵太を1番で起用した理由
三浦監督「いかに走者がいる状況で牧に回すか考えた」
■DeNA 4ー3 ソフトバンク(交流戦・24日・横浜)
DeNAは24日、本拠地・横浜スタジアムで行われたソフトバンク戦に4-3で競り勝った。主将の佐野恵太外野手がプロ6年目にして初めて「1番」で起用され、3号ソロを含む4打数3安打1打点と活躍した。
意外な人選だった。DeNAは不動の1番と期待されていた桑原将志外野手が、今季は試合前の時点で打率.198。昨季.369を誇った出塁率も.271に落ち込み、三浦大輔監督は「今の出塁率では寂しい。代わりに誰が1番を打てるのか、考えてやっていきたい」と打順の組み替えを明言していた。それにしても、お世辞にも足が速いとは言えない佐野が1番とは……。通算盗塁数は2018年に記録した「1」のみ(盗塁死は昨季、今季に1つずつ)。本人が「びっくりしました。これまでの野球人生でなかったことなので」と目を白黒させたのも当然だ。
しかし、佐野は躍動した。1回にはソフトバンク先発の石川から中前打を放つと、3回1死で迎えた第2打席では石川の真ん中高めの145キロ速球を右翼席中段へ3号ソロを運んだ。5回先頭での第3打席でも右前打。「違和感しかなかった。打順が回ってくるのが早く感じました」と苦笑しつつ、「どの打順、どのポジションに入っても、期待に応えられる選手になりたいと思っていますから」と力強くうなずいた。
三浦監督は「いかにしてランナーがいる状況で4番の牧に回そうかと、結構考えました。出塁率が高く、状態も良く、バットが振れている佐野に勢いをつけてもらおうと思いました」と明かした。この日球場入り直後、佐野本人にも「何も変えなくていい。1番だから盗塁をしなければならないわけではない。今までの佐野のスタイルでやってくれ」と説明したそうだ。
もっとも、初回に佐野が中前打で出塁した後、2番・神里は3球三振。5回に先頭の佐野が右前打を放った後、神里は送りバントを2球ファウルにし、強攻に切り替えたが空振り三振に倒れた。三浦監督は「送るべきところではしっかり送らないと。チームとしてクリアしていかなければならない課題です」と指摘した。
試合は3-3の同点で迎えた8回、2死二、三塁から相手捕手・甲斐のパスボールによって決勝点が転がり込んだ。DeNAのセ・パ交流戦開幕試合はこれで、コロナ禍で中止となった2020年を挟み6連勝。シーズントータルで最下位に沈んだ昨季も、交流戦では球団史上最高タイの3位に入っている。今年も「1番・佐野」がもたらした新鮮な風に乗り、交流戦で上位躍進を狙う。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)