マドン監督の電撃解任に米球界衝撃 パドレス監督「容赦ない現実がいつも待っている」
パドレス・メルビン監督がエ軍監督解任のマドン氏へ思いを語る
ダルビッシュ有投手が所属するパドレスのボブ・メルビン監督が7日(日本時間8日)、エンゼルスのジョー・マドン監督解任の報を受け思いの丈を語った。
本拠地でのメッツ戦を前にした定例の監督会見が終了後、メルビン監督は取材に応じた。米球界を震撼させたニュースについて、「知らなかった」と前置きし言葉を綴った。
「昨年までならジョーと同じア・リーグの西地区のアスレチックスを率いていたが、もう実質的な接点はない。だから何が起こったのかはわからない。ただ、はっきりと今、私が言えることが2つある。それは、彼が素晴らしい人間であるということ。そして、ジョーはすぐにまたどこかのチームで指揮官になり、強いチームを作るということ」
神妙な面持ちで話したメルビン監督はマドン監督同様、シーズン途中で監督の座を追われた苦い経験がある。そして両者はそれぞれ最優秀監督賞を3回受賞している点でも符節を合わせる。そして、もう1つ共通点がある――。人間性である。
マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏が、まばゆいほどの輝きを放っていた2003、2004年にメルビン監督はマ軍の指揮を執った。当時、イチローは「人として尊敬できる監督。チームが勝てない日々でも野球に対する態度が一貫している」と、混乱期に入っていたチームを粘り強くまとめる姿勢に感銘を受けた。一方、マドン監督は2008年、メジャー最弱のレッテル評を貼られたレイズをワールドシリーズまで導いた。そのチームで攻守に活躍した岩村明憲氏(現福島レッドホープス監督)は「二塁へのコンバートを促され、野球という競技の新たな面が学べた。そして彼は僕の人生観を変えた人でもあった」と称えている。
メルビン監督は話の最後をこう締めくくった。
「ジョー・ジラルディが解雇の憂き目に遭ったのはついこの間だったね。この世界で生きていくのは厳しい。それはファンも知っていること。容赦のない現実がいつも待っている。それがこのビジネスだ」
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)