野球とボクシングのカギを握る「脱力」とは? 五十嵐亮太氏が共感する重要性
同世代対談「極める」第1弾、五十嵐亮太vs元ボクシング世界王者・内山高志(2)
日米23年のプロ野球生活を送った五十嵐亮太さんと、各界で活躍する“同級生”との対談シリーズ。「極める」を合言葉に、多岐にわたるトピックスについて語り合う。第1弾のゲストは、元ボクシングWBA世界スーパーフェザー級王者で世界王座11度防衛を果たした内山高志さんだ。全5回シリーズの第2回は「脱力」について語り合う。
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五十嵐:僕は投手として他よりも球が速いという特徴があるんですけど、内山さんの長所は?
内山:大学2年で覚醒してから、自分はパンチが武器だなと。
五十嵐:パンチの強さか。投手の場合、変化球の曲がりが大きいとか、強い球を投げられるとか、タイミングを外す技術があるとか、良いとされる条件があるけど、ボクサーにとって相手を倒すための条件って何でしょう? パンチが強いのは最低条件な気もするし。
内山:そうですね。でも、パンチ力のないボクサーはたくさんいますよ。
五十嵐:え、そうなんですか?
内山:います。一番大切な条件はここ(拳で胸を叩いて)、ハートですよね。いくら運動センスがあっても、身体能力が高くても、試合になるとひよって全く実力が出せない選手もいる。打たれる恐怖もあるのでメンタルは大事です。
五十嵐:内山さんはそもそもメンタルはあるから、逆にパンチ力が武器になるのか。短所はありましたか? 僕はコントロールが悪かったけど。
内山:短所……なんですかね。う~ん、ないですね。
五十嵐:他の選手と比べて極端に劣っていると感じた部分は?
内山:そういうのは感じなかったですね。
五十嵐:もう、ただ強い男の話じゃないですか!(笑)
内山:いやいや(笑)。ただ、プロになってから言われたのは、少し打たれ弱い、と。アマチュアの時はヘッドギアをしていたので、パンチをもらっても効いたことはなかったんです。でも、プロで初めてダウンした時、「うわ、こんなに効くんだ」と思いましたね。プロで結局、6回くらいダウンしたけど、効きました。パンチが効かない打たれ強い人間もいるんですよ。僕ももう少し打たれ強かったら、もっとできたと思います。