神宮で成し遂げた“親子マダックス” 東海大高輪台・石川大耀が感じた父の偉大さ
父を見つめた神宮球場のマウンドで駿台学園打線を4安打完封
憧れの父に少しだけ近づけた気がした。第104回全国高校野球選手権東東京大会が14日、神宮球場などで2回戦が行われ、東海大高輪台が駿台学園に1-0で勝利。NPB現役最多の通算182勝を誇るヤクルト・石川雅規投手の長男・大耀(だいや)投手(3年)が93球、4安打の完封勝利を挙げた。現役の父も1度だけ経験のある“マダックス”(100球以内で完封勝利)を達成。マウンドさばきは偉大な父を彷彿とさせるものだった。
先発を宮嶌孝一監督から伝えられたのは3、4日前のことだった。それは同時に父の本拠地でもある神宮球場のマウンドに立つことを示していた。
「緊張や不安もありましたが、やっぱり父と同じマウンドで投げられることにワクワク、ドキドキな気持ちでした」
小さい頃から何度も観戦に訪れていた場所。ヤクルトジュニアのメンバーに選ばれた時はお披露目式でグラウンドに立ったことはあるが、公式戦としてマウンドに立つのは初めてだった。緊張のレベルはケタ違い。「上(スタンド)から見る景色と、マウンドから見るのではいつもと違う感じでした」。
父の“仕事場”に立ち、心を落ち着かせると試合前にかけられた言葉を思い出した。
「とにかく、楽しんでこいよ」
野球の魅力を教えてくれた父から最後の夏にもらった言葉。それを体現しながら打者に立ち向かった。初めて父とキャッチボールをしたのは幼稚園児の頃。今でもしっかりと覚えている。シーズン中などは遠征で不在の時もあったが、マウンドに立つ姿をずっと追いかけてきた。大耀投手は父とは反対の右投げの投手。身長167センチの父に対して、182センチと大きいが、フォームや間合いの取り方、ボールの握りなどは「父を参考にしています」と自信を持っていた。グラブも“石川モデル”を参考にしながら作ってもらった大切な品だという。