創部5年目の北海道ガスが“ドラ1候補”を倒せた理由…剛速球を「打たない」練習とは

北海道ガス・清水隆一監督【写真:羽鳥慶太】
北海道ガス・清水隆一監督【写真:羽鳥慶太】

秋のドラ1候補、東芝の吉村貢司郎は1回戦で東京ドームを去った

 東京ドームで開催されている社会人の最高峰、都市対抗野球で波乱があった。22日の1回戦、創部5年目の北海道ガス(札幌市)が、優勝7度を誇る名門・東芝(川崎市)を1-0で下したのだ。東芝の先発マウンドに立ったのは、この秋のプロ野球ドラフトで上位指名が見込まれる吉村貢司郎投手。勝利につながる1点は、選手が考案したいくつもの“ユニーク練習”のたまものだった。

 北海道ガスの清水隆一監督は「これぞ野球だね。ベースボールじゃなくて」と試合を振り返った。派手な一発合戦ではなく、1点を巡るしのぎ合いを愉快そうに振り返る。かつての名門・熊谷組を最後に率いた指揮官も、東京ドームでは久々の勝利だ。

北海道ガス戦に先発した東芝・吉村貢司郎【写真:羽鳥慶太】
北海道ガス戦に先発した東芝・吉村貢司郎【写真:羽鳥慶太】

 両軍が戦った計18イニングで、唯一生まれた得点は4回だった。北海道ガスは1死から「4番・右翼」の寺田和史外野手が中前打で出塁、続く安田大将内野手が右前打で続き一、三塁へと好機を広げた。ここで長谷川寛外野手が左翼へ犠飛。寺田は生還すると、喜びを爆発させた。

 東芝・吉村は前評判通りの好投手だった。ネット裏に陣取ったプロ野球のスカウトからも「社会人の投手では一番いいのでは」との評価が漏れる。北海道ガスも、初回は先頭から連続三振と三ゴロ。きっちり3人で終わり、手も足も出なかった。なぜここぞの場面で連打を出せたのか。清水監督は「僕は何も指示していないよ。ミーティングにも一切出ませんから」。就任2年目、選手たちには主体性を持つことを求めてきた。日々の練習メニューも、選手が全て組んでいるのだという。

北海道ガスの選手が編み出した「打たない」練習法

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