遊びじゃない…芸人・高岸が初練習で示した“本気度” 関係者仰天「もっと軽めかと」

チーム練習に初めて参加した栃木ゴールデンブレーブスの高岸宏行【写真:編集部】
チーム練習に初めて参加した栃木ゴールデンブレーブスの高岸宏行【写真:編集部】

元ロッテ・成瀬コーチ「今の段階では伸びしろしかない」

 グラウンドで“プロ予備軍”の若手たちと並んでも、全く遜色ない体躯。独立リーグ・ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスに加入したお笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行投手が25日、チームの練習に初めて参加し、みっちりメニューをこなした。「芸人がプロ野球選手に」という話題が先行する中、見せたのは“完全ガチ”の姿。チーム関係者も「初日だから、もっと軽めかと。びっくり」と驚いた。

 チームメートへの挨拶では、お得意のセリフ「やればできる!」を早速披露した高岸。しかし、芸人の顔はここまでだった。ウォーミングアップの時には、首脳陣らからサインを教えてもらい、真剣な表情。キャッチボールの後は、投内連係にも参加した。すでに腰掛け感はなく、チームの一員。うだるような暑さの中、約2時間汗を流した。

 周囲の色眼鏡も一瞬で取っ払った。キャッチボールの相手を務めた元阪神の高野圭佑投手は「誇張なしで、本当いい球がありました。『そんな球投げられるんだ』って感じで。めっちゃ楽しみだと思いますよ」と目を見張る。元ロッテの成瀬善久兼任投手総合コーチも「ポテンシャルはある。今の段階では伸びしろしかない」と言い切った。

“真摯”を絵に書いたような右腕。それだけに、首脳陣には一抹の不安もある。「何が怖いって、本人はすごく真面目なので。伸びると思って、一生懸命やりすぎると故障につながる」と成瀬コーチ。大学まで第一線でプレーしていたとは言え、ブランクはかなりある。にもかかわらず、周囲の期待に応えて急ピッチでコンディションを上げてしまうリスクは否めないだけに「そこをセーブするのが僕らの仕事」と言う。

 一方の高岸は、口を開けば選手らしさを隠し、芸人に徹する。練習後の囲み取材で今後の意気込みを問われると「1人でも多くの方を、1つでも多く前向きにさせることです!」と絶叫。デビュー登板に向けた仕上がり具合は「いつでも、きょうでもいい。今、5分後でもいけるような準備はしています!」とリップサービスした。

 芸人としてのエンターテインメント性と、選手としての愚直なまでの向上心。そのバランスを保ちながら投手としてレベルアップを図っていくことになるが、成瀬コーチは「他の選手たちにとって、いいお手本がきてくれた」とも。ブランクが長い分、一からスポンジのように吸収できるとみる。行動で示す「やればできる!」の姿勢。たった1日で、“高岸効果”は確かに生まれている。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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