元楽天・鉄平さんが振り返る現役生活 9割5分が“苦しみ”も何にも代え難かった喜び

楽天などで活躍した土谷鉄平氏【画像:(C)PLM】
楽天などで活躍した土谷鉄平氏【画像:(C)PLM】

中日入団後に内野から外野手に「これは無理と痛感しました」

 プロ野球選手を夢見る子どもやその保護者に中日、楽天、オリックスでプレーした鉄平さんが「プロ野球選手になる方法」を伝授する連載「教えて! 鉄平先生!」。最終回の第6回のテーマは「プロ野球選手の苦労とやりがい」。現役生活は苦しさやつらさが大部分を占めるものの、大歓声の中でプレーできる高揚感は何にも代えがたいものがあったという。また、改めてプロを目指す子どもたちへアドバイスを送った。

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 前回の連載で、投手断念と左打者への転向がプロになるターニングポイントだったとお伝えしました。プロに入ってからの一番の転機は外野手へのコンバートです。高校ではショートをしていたので、中日には内野手として入団しました。でも、プロに入って周りの内野手を見た時に「これは無理」と痛感しました。レベルは全く違いましたが、プロの打撃と走塁は想像の範囲内で、何とかなるかもしれないという印象でした。一方で内野守備は、努力してもどうにもならないと感じました。

 当時の中日は“アライバコンビ”の荒木雅博さんと井端弘和さん、さらに久慈照嘉さんや李鐘範ら名手ぞろいでした。内野手が何気なくアウトにしているプレーは、実はものすごくて簡単にはできません。自分が同じようにやってみると、打球は速いですし、送球しようと打者走者をチラッと見たら、もう一塁の手前まで走っている感覚です。焦って送球すると暴投、アウトにできても間一髪でした。結局、内野手は2年間で失格の烙印を押され、外野手にコンバートされました。自分自身でも厳しいと思っていましたし、早めに判断してくれた首脳陣には感謝しています。内野手としての守備力は全くプロのレベルには達しませんでしたが、打撃に生きる経験があったのも収穫です。

 内野守備の練習では、ゴロを捕球する中腰の姿勢で下半身をいじめ抜きます。この時に、足のどの部分で上半身を支えれば、比較的楽なのかポイントを探します。しばらくは太ももに力を入れていたのですが、ある日、足の付け根にもっと強靭な土台があることに気付きました。足の付け根で上半身を支えると、疲れが少ないんです。はまるポイントがありました。これが、打撃の時の下半身の使い方や体重移動につながりました。守備練習の中腰では両足の付け根に同時に力を入れますが、打撃では軸足の付け根に力を入れて、打ちに行く時に踏み込む足の付け根に力を移動します。より下半身を使った打撃ができるわけです。短くまとめましたが、かなり長い期間をかけて習得した動きです。

 内野に名手がたくさんいた当時の中日は、外野も強肩がそろっていました。福留孝介さん、アレックス・オチョア、英智さん。肩の強さで勝負しても勝てないのは明らかなので、捕球から送球するまでの動きをいかに速くするかを考えて練習しました。

楽天での主力時代はプレッシャーで「苦しさばかり」

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