1年目で30Sなら全員が新人王 本命・大勢を追う20歳の新星2人…セの新人王争い
守備指標UZRならヤクルトの長岡、総合指標WARなら中日の高橋宏がトップ
ペナントレースも終盤戦に差し掛かり、セ・リーグでは首位のヤクルトをDeNAが7ゲーム差で追っている。ヤクルト村上宗隆内野手の60本塁打、3冠王の行方にも注目が集まっているが、新人王争いも白熱している。30セーブに到達した本命の巨人のドラフト1位ルーキー、大勢投手に待ったをかける選手たちを紹介したい。(数字は30日時点)
今年の新人王争いを引っ張ってきたのは間違いなく大勢だ。昨年のドラフト会議で1位指名を受けると、ルーキーながら開幕から守護神に大抜擢され、前半戦はセーブ数でもリーグ1位を走ってきた。26日の広島戦(マツダ)では史上4人目となる新人での30セーブに到達。過去に達成した与田剛、山崎康晃、栗林良吏は全員が新人王を受賞していることからも本命と考えられる。
ここに来て面白い存在になってきたのはヤクルトの2選手だ。2020年ドラフト1位の2年目右腕、木澤尚文投手が大躍進を見せている。1年目の昨季は2軍でも2勝8敗、防御率6.07と苦しんだが、今季はここまで44登板で8勝3敗、防御率3.22。2桁勝利に到達し、さらに勝ち星を伸ばしていけば可能性が出てくる。
遊撃に定着した高卒3年目の長岡秀樹内野手は、守備で圧倒的な成績を残している。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)によると、守備全般での貢献を示すUZR(Ultimate Zone Rating)はセ・リーグの遊撃手で断トツの12.7。名手の源田壮亮(西武)の13.8に迫る数字だ。
同じく指標で突出した成績を残すダークホースが中日の2020年高卒ドラ1、高橋宏斗投手だ。打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表すWAR(Wins Above Replacement)は2.7と新人選手で堂々のトップ。つまり指標で見れば、最も新人王に相応しいということだ。今季ここまで15試合に先発して4勝5敗、防御率2.34。勝ち星こそ伸びていないが、QS率では同僚の柳と大野雄を上回る73.3%と高卒2年目とは思えない安定感を見せている。
その他にも巨人の山崎伊織投手、阪神の湯浅京己投手と西純矢投手、DeNAの入江大生投手と好成績を残す投手たちが多い今年のセ・リーグの新人王争い。残り少ないシーズンで誰が抜け出すのか注目したい。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。