松井秀喜氏、55発村上宗隆へ「次の1本は意味がある」 同じ背番号も「55=村上選手」
NY郊外で野球教室、子どもたちには60発のジャッジを例にアドバイス
穏やかな秋晴れの下、乾いた打球音が響き渡り、子ども達の歓声が続いた。米大リーグ、ヤンキースOBの松井秀喜さんが24日(日本時間25日)、ニューヨーク郊外にあるヤンキースのマイナー傘下チームの球場で子ども向けの野球教室を開催。王貞治氏に並ぶ55号本塁打を放ったヤクルトの村上宗隆内野手について「55番イコール村上選手だと思いますよ。そういう時代ということだと思います」などと語った。
野球教室の最後は毎回恒例となっているフリー打撃を披露し、現役時代を彷彿させる右翼ポール際へのアーチを放った。古巣のヤンキースタジアムよりも少し広い球場で2本の柵越えを記録すると、手を広げて大喜び。松井さんは「ヤンキースで長年やってるとあそこ(ポール際)に最短距離で入れるというのが体から抜けてないんですよね」と言って笑った。
今回も地元の野球少年ら10代前半が中心のメンバーだったように、自身の現役時代を知らない世代を指導する機会が増えた。「技術的なことよりも、私が見てきたスター選手のことを伝えてあげるのが一番いい」。子どもたちに基本の大切さを伝える際、本塁打記録への挑戦が注目されているヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手とのエピソードを披露。ジャッジがマイナー2Aでプレーしていた際、球団アドバイザーとして訪問していた松井さんはスイング時に上体が前に突っ込む弱点を見ていた。
それが今は修正されているということを例に出し、「重心を軸足に残す大切さ」を説明すると、子どもたちは熱心に聞き入った。「彼らは僕のことを知らないと思いますけど、彼らが知ってるような選手が『こういうことをしていたよ』と伝えた方が響く。基本の大切さ、基本的なことをみんな大事にしていたよと伝えたいと思っています」と、松井流の指導法を説明した。
また、王貞治氏がマークした55本塁打に並ぶ活躍を見せているヤクルトの村上宗隆についても言及。「もう少しで日本人の一番多いホームランになるわけですから。彼にとって次の1本というのは意味があるんじゃないかと思います」と評価した。松井さんがプロ野球の巨人入団時から付けていた背番号55は、今ではホームラン打者が付けるイメージが定着しているが「最近、55番といえば私ではなくなってますから。55番イコール村上選手だと思いますよ。そういう時代ということだと思います」と、同じ55番を背負う村上に賛辞を送った。
大リーグではジャッジ、日本では村上が3冠王を狙える位置につけるなど日米で偉業に注目が集まっている。「いちファンとして見ている」と言う松井さん。日本プロ野球で最後の年になった2002年に50本塁打を放ち、打点王にも輝いたが、3冠王にはあと一歩届かなかった。「最終的には獲りたいと思ってましたよ。打率も最後まで競っていましたし。意識はしてましたけど、最後ダメだったというね。その辺が私と、獲れる選手たちとの違いですよね」と振り返った。
10月15日には故郷の石川県で野球教室を開催する予定。「最後にみんなが笑顔で終わってくれてうれしい」と話し、子ども達との交流を心から楽しんでいる様子だった。
(Full-Count編集部)