鷹が成し遂げたプランと勝利の“両取り” 藤本監督がナインに感謝した理由とは?
序盤で6点のリードを奪い、余裕のある展開で明石の出番をお膳立て
■ソフトバンク 6ー0 ロッテ(24日・PayPayドーム)
ソフトバンクは24日、本拠地・PayPayドームでロッテに6-0で快勝し、優勝へのマジックを「6」とした。初回に三森大貴内野手の初球先頭打者本塁打で先制すると、2回に柳田悠岐外野手の適時打で加点。4回には中村晃外野手が3ランを放った。先発の板東湧梧投手がプロ初完封の好投で守り抜いた。
この日は今季限りで現役を引退する明石健志内野手のラストゲームだった。チームは優勝争いの真っ只中にあり、競った展開での起用には難しさもある。「明石には気持ちよく打席に立てるようにね。その前に何とかいい形にしておきたいですね。プレッシャーがかかるところだと本人に気の毒だから」と試合前に藤本博史監督も語っていた。後輩たちには、早い段階で点を取って、余裕のある状況で明石の出番を作ることも求められていた。
初回に三森の初球先頭打者本塁打で先制に成功。2回には柳田の適時打、4回には中村晃の3ラン、今宮の適時打で一気に4点を加えた。中盤までにリードは6点に。先発の板東も好投し、セーフティリードを保ったまま、試合は終盤へと向かっていった。
明石の出番は7回に巡ってきた。1死走者なし、8番の柳町のところで代打で打席に立った。ロッテ3番手の八木に2球で追い込まれながらも、3球目の真っ直ぐを弾き返して投手強襲の内野安打。一塁を懸命に駆け抜けると、次の瞬間、瞳からは大粒の涙が溢れ出て止まらなくなっていた。
試合後の引退セレモニーで花束も手渡した藤本監督は狙い通りに進んだ試合展開に「いや、もう試合前に柳田とかみんなに、明石が出るまでにたくさん得点しておいてくれよと言っていたら、本当にやってくれたんで。本当、出しやすかったです」と胸を撫で下ろす。優勝争いの中の大事な一戦。ビハインドや競った展開ではなかなか起用どころも難しくなっていただけに、ナインたちに感謝していた。
「本当に優勝争いしてる中で1つのミスがやっぱり命取りになる。その中で後輩たちがやってる姿とか、ましてや、もっと若い子たちがやってる姿を見て、熱くなるものもありますし、安心して引退できるなと思いました」。リーグ優勝に向けて戦う後輩たちを、明石は頼もしそうに見つめていた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)