プロ野球界と距離置いた”第2の人生” 元首位打者が物流会社でイキイキ働くワケ
元広島の正田耕三氏は中学生指導にも情熱を注ぐ
セ・リーグで2度、首位打者に輝いた男が、セカンドキャリアで充実の日々を過ごしている。元広島の正田耕三氏は物流関係の仕事を本業に選び、時間を見つけては無償で中学生指導にも情熱を注ぐ。「野球をやっていた時よりも忙しいけど、仕事は好きだし、中学生に教えるのも楽しいし、今の生活がこれまでで一番おもろいかもしれない」と笑顔で話す。練習の虫、努力の人で知られた正田氏の今に着目した。【山口真司】
正田氏はスマホを見ながら目を細めた。「ケータイには子どもたちの打撃フォームの映像がいっぱいある。本人から『見てください』って送られてくるんだよ。たとえば、『速い球にどうしても遅れるんですが、どこが原因ですか?』とかね」。教え子たちへの返事をつくる作業は夜遅くなることもあるという。しかし「大変だよ」と言いながらも楽しそうだ。「俺、教えるのが好きだからね。中学生は素直。どんどん吸収するし、すぐ上手くなる」と声も弾んだ。
実は本業の物流関係の仕事でも、今では責任あるポジションで作業を教える立場になっている。商品の出し入れなど、スピードと正確さを求められる仕事。「最初は大変だったよ。くそって思った。できなかったからね」。それを持ち前の負けず嫌い、努力の積み重ねで打開していった。「元野球選手はアカンなって言われたくなかった。野球もすごかったけど、仕事もすごいなって思わせたいってね。野球以上に頑張ったよ」。