新生・西武を支える“真のキーマン”は？　松井稼頭央監督が信頼する“PL学園の絆”

楽天監督としてチームをAクラス入りさせた実績

　西武の松井稼頭央新監督が18日、就任会見に臨んだ。新指揮官を支えるヘッドコーチには、今季1軍打撃コーチを務めた平石洋介氏が昇格。松井新監督にとってはPL学園高（大阪）の5学年後輩にあたり、楽天時代にはチームメート、あるいは選手とコーチの立場で長年付き合った盟友。指導経験も豊富で、“新政権”を支えるキーマンとなりそうだ。

「平石の存在は心強い。監督経験もコーチ経験もあり、いろいろなチームを見てきている。野球を本当によく知っている。5歳下ですが、何でも話し合える仲だと思っています」と松井監督。17日から始まった秋季練習も、平石ヘッドと綿密に話し合いながら進めていると言う。「まだスタートしたばかり。僕にも意見はあるが、平石にも意見があると思う。僕自身が色を出していくように、平石にも色を出していってほしい」と全幅の信頼を置いている。

　平石コーチの指導者歴は、松井監督を上回る。楽天で7年間現役生活を過ごした後、2012年に楽天育成コーチに就任。2013年に1軍打撃コーチ補佐、2014年から1軍打撃コーチ、2016年から2軍監督を歴任し、名伯楽との定評を得た。1軍ヘッド兼打撃コーチに就任した2018年には、シーズン途中から監督代行に。翌2019年には正式に監督となり、チームを前年最下位から3位に押し上げるも、1年間で退任している。翌2020年から2年間はソフトバンクの1軍コーチを務めた。

　今季は西武に招かれ、1軍打撃コーチに就任。ヘッドコーチだった松井監督とともに、辻発彦前監督を支え、昨季最下位から3位に導いた。前政権の長所を継承する上でも、平石ヘッド以上の人材はいないだろう。松井監督自身にも、2019年から3年間、西武の2軍監督を務めた経験はあるが、「2軍は選手をどう育てるか、1軍はどう勝つかが課題で、役割が違う」と話す。それだけに1軍を指揮した経験を持つ平石ヘッドは頼りになる。

　また平石コーチと言えば、“松坂世代”でPL学園高3年時に主将を務めた。夏の甲子園準々決勝で、松坂大輔投手を擁する横浜高と延長17回の熱闘を繰り広げた際、三塁コーチャーズボックスから、相手捕手の構えで松坂の球種を見破っていた“伝説”がある。抜群の観察眼の持ち主だ。「選手を育成しつつ、常勝を目指したい」と掲げた松井監督の下で、新たな伝説をつくるか。

（宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki）