神奈川の公立に進んだ遊撃手が「別人」の投手に 鷹育成12位から“大化け”する説得力

ソフトバンクの育成12巡目で指名を受けた横浜市立金沢高・飛田悠成【写真:大利実】
ソフトバンクの育成12巡目で指名を受けた横浜市立金沢高・飛田悠成【写真:大利実】

中学時代はメンバー外からのドラフト指名 金沢高・飛田悠成が飛躍を遂げた理由

 10月20日に開催されたプロ野球ドラフト会議。ソフトバンクの育成12巡目で指名を受けたのが、横浜市立金沢高校の飛田悠成だった。身長184センチ、体重83キロの体が魅力の遊撃手兼投手。担当の松本輝スカウトは「腕が長くしなりがあり、将来性を感じる選手。1~2年で体を作れば、大きく成長する可能性を秘めている」と、投手としての未来に期待を寄せている。

 ドラフト会議が始まってから3時間ほど経った頃、待ち望んでいたときが訪れた。

「“飛田”と名前を聞いたとき、体が熱くなりました。あとはもう本当にホッとして……」

 2年の冬から複数の球団が視察に来ていたが、調査書が届いたのはソフトバンクのみ。指名があるとすれば、「育成枠」だった。

 金沢高校は、東京六大学や難関国公立大に多くの卒業生を輩出する進学校である。野球部は、横浜高校でキャプテンを務め、甲子園にも出場した吉田斉監督が率いる。2018年春夏に県大会でベスト8入りを果たすなど、市立ではトップクラスの実力校だ。飛田が金沢高校を選んだのは、「文武両道」に魅力を感じたからだった。

「子どもの頃から、プロ野球選手になりたいと思ってはいたんですけど、中学の最後の大会ではメンバーにも入れませんでした。高校は勉強のことも考えて、金沢を受験したので、ドラフトで指名を受けるとはまったく思っていなくて。最後は大学進学と悩んだんですけど、プロの可能性があるのなら、挑戦したいと思い、志望届を出しました」

 中学時代は、神奈川の強豪・緑シニアでプレーした。学年50人近い大所帯ということもあり、最後の夏はBチーム。同級生の深谷謙志郎(東海大相模)らが強豪私立に進む中、飛田は公立の道を選んだ。

 今、中学のチームメートに会うと、「別人」とまで言われるという。高校3年間で、本人も周りも驚くほどの成長を遂げた。

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