中日の“鉄人”岩瀬仁紀が挑む大記録 史上初の1000試合登板の価値
43歳の今季は12試合で0勝0敗1セーブ4ホールド、防御率2.61
現役最年長投手、中日の岩瀬仁紀投手が順調に出場試合数を増やしている。NPB史上初の1000試合登板まであと「46」として開幕を迎えた今季、このペースでいけばシーズン後半にも大記録を達成しそうだ。
1974年11月生まれの岩瀬は、2016年限りでイチロー世代1973年12月生まれの三浦大輔が引退してから、NPB史上最年長投手になった。今季、上原浩治が巨人に復帰したが、上原は1学年の下の1975年4月生まれだ。
歴代1位の通算セーブ数を挙げている左腕。今季も1セーブをマークし、その記録を405セーブとした。歴史に残る大投手となっているが、今季は前人未到の1000試合登板という大記録を控えている。
投手での出場が50%を超える選手の出場試合数5傑()は投手としての出場数 ※は現役
金田正一 1053試合(944試合)
米田哲也 979試合(949試合)
岩瀬仁紀 966試合(966試合)※
梶本隆夫 934試合(867試合)
小山正明 869試合(856試合)
岩瀬以外の4人は昭和の大投手。すべて200勝以上している。この頃の投手は登板するだけでなく、代打や野手としても出場しており、純粋に投手としての登板の10傑はこうなる。
1岩瀬仁紀 966登板
2米田哲也 949登板
3金田正一 944登板
4梶本隆夫 867登板
5小山正明 856登板
6江夏豊 829登板
7皆川睦雄 759登板
8稲尾和久 756登板
9鹿取義隆 755登板
10五十嵐亮太 754登板
野手の「試合出場」は、1イニング以上守備に就けば、守備機会がなくても記録される。比較的更新が容易だが、投手の場合、打者と対戦しなければならない。結果が出なければ、起用し続けることは難しい。
43歳の岩瀬は今季12試合に登板して0勝0敗1セーブ4ホールド、防御率2.61を記録している。貴重な中継ぎ投手として、重要な場面で起用されている。このことに大きな価値がある。岩瀬は2015年は1軍登板なし、2016年も15試合の登板にとどまった。ところが、昨季、復活を遂げて50試合に登板。6月には14試合に登板し、1勝0敗1セーブ10ホールド、防御率0.00で月間MVPを受賞している。また、米田哲也の949登板を抜き、史上1位に躍り出ている。
岩瀬仁紀、単なる「記録のための記録」ではなく、戦力としてチームに貢献を続けながらの大記録挑戦だ。それだけに、非常に価値が高いと言える。昨季は6月までに34登板したが、7月以降に調子を落として16試合の登板にとどまった。43歳の岩瀬にとって、これからが正念場。前人未到の1000試合登板。中日が誇る“鉄人左腕”が、偉大な記録を打ち立てる日はいつになるだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)