防御率0点台でも低評価 意外な“伏兵”がトップ…データで見るパ新人王争い

ソフトバンク・柳町達、日本ハム・上川畑大悟、西武・水上由伸(左から)【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・柳町達、日本ハム・上川畑大悟、西武・水上由伸(左から)【写真:荒川祐史】

新人王争いをセイバーメトリクスの指標のひとつである「WAR」で検証した

 今季の新人王が25日に行われる「NPB AWARDS 2022 supported by リポビタンD」で発表される。パ・リーグでは、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した西武の水上由伸投手を筆頭に、リリーフ陣の活躍が目立った。では、データで見ると誰が新人王にふさわしいのだろうか。客観的数値でプロ野球の分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)の指標を参考に紹介していく。

 用いたデータは、セイバーメトリクスの指標のひとつである「WAR」。「攻撃評価+守備評価+守備位置補正+投球評価+代替水準対比価値」で算出され、打撃、守備、走塁、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表すことができる。これによって投手、野手にかかわらず、あらゆる選手を同じ土俵で比較することができる。

 パ・リーグの有資格者で「WAR」が最も高かったのは、意外にも日本ハムの上川畑大悟内野手(2.7)だった。右膝の故障のため1軍初出場は5月24日のヤクルト戦となったが、80試合の出場で打率.291、2本塁打、8盗塁をマークした。一見、インパクトのある成績ではないが、堅実な遊撃守備と、出塁率.360を記録した選球眼で、チームに大きく貢献した。

 上川畑に続いて「WAR」で2位につけるのは、ソフトバンクの野村勇内野手と柳町達外野手(ともに1.8)だ。野村勇は97試合の出場で、打率.239、10本塁打、10盗塁の成績。意外性のあるパンチ力で長打率.489を記録し、OPSは好打者の証でもある.800に乗せている。柳町は107試合の出場で、打率.277、出塁率.357の打撃成績に加え、守備指標UZRでゴールデングラブ賞に選ばれたロッテの高部を上回る7.3をマークしている。

 タイトルを獲得した水上は、有資格者で6位の1.4だった。60試合に登板して4勝4敗、31ホールド1セーブ、防御率1.77。十分に新人王にふさわしい成績だが、「WAR」ではイニング数の少ない中継ぎ投手が不利になることは付け加えておきたい。防御率0点台を記録したオリックスの阿部翔太投手(1.1)、宇田川優希投手(0.8)も同じく伸び悩んでいる。インパクトを残したリリーフ陣に指標で上回る野手陣がどこまで迫れるか、実際の結果にも注目してみたい。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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