サッチーは「すっごい、べっぴんさん」 失言連発だった18歳、忘れられない“強烈初対面”

南海・ヤクルトなどで監督を務めた野村克也氏【写真:荒川祐史】
南海・ヤクルトなどで監督を務めた野村克也氏【写真:荒川祐史】

立石充男氏が今でも思い出す野村沙知代さんとの初対面

 稀代の名将・野村克也さんの影響を受けた教え子は数え切れない。プロ通算657本塁打など輝かしい実績を残した現役時代に裏打ちされた高い技術、豊富な知識、指導理念……。すべて奥が深く「野村の考え」として引き継がれている。南海時代、選手兼任の野村監督に鍛えられた立石充男氏もその一人。多くのことを学び、それらを野球界の後輩たちに伝え続けているが、野村夫人の沙知代さんとも強烈な思い出があるという。

 立石氏が苦笑しながら明かしたのは、初芝高(大阪)から南海に入団したプロ1年目のオフの出来事だ。「あの当時、寮には電話当番があって、順番で回ってくるんです。その日は僕じゃなかったんですけど、午後8時頃だったかな。『立石、女の人から電話だぞ』って呼ばれたんです。誰って聞いたら『野村さんって言ってるぞ』って」。ピンと来なかったし、全く心当たりがなかったという。一体誰だろう。そう思いながら「もしもし」と言った。

 電話の向こうから聞こえてきたのは「立石くん、野村沙知代よ」。監督夫人の声だった。だが、まだ一度も会ったことがなかった高卒1年目の18歳は、そう言われてもわからなかった。何と「どこの野村さんですか?」と言ってしまったのだ。当然、これには「あんた、何言ってるの! 監督の奥さんの名前、わからないの!」と強い反応が……。それでもあろうことか、立石氏は続けてしまった。「監督の奥さんの名前は違うんじゃないですか」と……。

 野村さんはその頃まだ、前妻と離婚しておらず、立石氏が聞いていた夫人の名前は確かに違っていた。それでも、沙知代さんはすでにチームでも知られた存在だ。「また『あんた、何言っているの!』って言われて。12月何日だったか忘れましたが、その日に婦人会があるから『河埜(敬幸)くんと2人で受付に来なさい!』って」。言うまでもなく、先輩の河埜氏には「お前、そんなこと、言ったんか」と驚かれたそうだ。

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