シーズン記録の16勝も“2軍漬け” 「なんで俺じゃない…」ノムさんから無視の無念

南海でプレーした藤田学氏【写真:山口真司】
南海でプレーした藤田学氏【写真:山口真司】

元南海の藤田学、今もウエスタン記録のシーズン16勝を挙げた理由

 勝っても勝っても……。元南海投手の藤田学氏はウエスタン・リーグのシーズン最多勝記録を持っている。プロ2年目の1975年に10連勝を含む16勝をマークした。だが、その年に1軍のマウンドに上がることはなかった。野村克也監督の英才教育の一環ともいわれているが、藤田氏は「なんの説明もないし、何でだろうって思うばかりでした」という。振り返れば「一番調子が良かったのは、その年かなと思います」と何とも言えない表情を浮かべた。

 その年、2軍では自信満々に投げていた。「バッターは全然タイミングがあっていなかったし、思うように投げられた。ランナーを出しても、ゲッツーを取ればいいやって感じだった」。球種はストレートとカーブとシュート。打たれる気がしなかった。「1軍の試合のラジオを聞いていて、先輩が打たれると、次は俺かなって思ったら、違う人が1軍に上がった。なんで俺じゃないんだろうと思ったけど、勝っていくしかないと思った」という。

 1975年のパ・リーグ新人王は阪急の怪物ルーキー・山口高志投手。この剛腕がいたので、野村監督は藤田氏に新人王をとらせるために、この年、1軍に上げなかったとも言われているが、藤田氏は「どうなんですかね。わかりません。私自身は1日も早く上がりたかったですけどね」。2軍で16勝をマークした記録についても「普通は10勝もすれば1軍にみんな上がっていきますからね。10連勝もしたし、4試合連続完封もあったんですけどね」と話した。

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