広島、リーグ3連覇に欠かせない「4番・鈴木」の存在 交流戦で完全復活なるか
27日の中日戦では本塁打を含む3安打3打点の活躍
広島の鈴木誠也が27日の中日戦で本塁打を含む3安打3打点を記録した。昨年8月の右足首骨折の影響で開幕早々に離脱し、復帰後も印象深い活躍はするものの、試合前まで打率.262と不本意な成績が続いていた。
この日は第1打席で無死満塁からの内野ゴロで、先制点となる打点を挙げると、2打席目は「積極的に思い切っていった」と、中日先発の大野雄のスライダーを左中間に運ぶ6号2ラン。7回には三塁手を強襲する二塁打で出塁すると、続く新井の一塁ゴロ失策の間に、二塁から全力疾走でリプレー検証となるきわどいタイミングだったが、勝ち越し点となるホームを踏んだ。9回にも先頭打者で安打を放ってチャンスを作った。
試合後、報道陣に囲まれた鈴木は「勝たないと何もないです」と笑顔はなかったが「負けたくないので、自分で決めようとかそういう気持ちでなく、何とかつなぐ意識で打席に入った」と3安打を振り返った。
7回の激走については「自分の位置からは(相手守備が)見えなかったが、三塁コーチが腕を回していたので思い切っていけた」と説明し、足の状態については「普通にプレーするには問題ないです」と不安を一掃した。緒方監督も「もともと走れる選手だから。体にキレが出てくれば、打撃の状態も上がってくるはず」と4番の復調に手応えを感じた様子だった。
春季キャンプの段階で、右足首は「今年中に完治は難しい。痛みや違和感を感じながら、その中でやっていくしかない」という状態だった。自身の打撃に関しても「感覚的に、自分は軸足を使う方なので、その負荷に耐えられる足にしないと厳しい」と話していたが、開幕後わずか2試合で戦線離脱し、復帰した現在も、打席での姿は本来の形にはまだまだ遠い。
殊勲打を放つたびに「チャンスで凡退してばかりなので」と自戒のコメントを出すのも、恒例行事のようになった感もある。それでも、効果的な場面での本塁打など、4番としての存在感は他の追随を許さないものがある。
気温が上昇するこれからの天候も、故障明けの体にはマイナスにはならないはずだ。「チームの中で飛び抜けた存在の人が4番に座るべき」という鈴木が、自身のブレイクのきっかけとなった交流戦で、本当の意味での完全復活を目指す。
(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)