完封目前の黒田に強攻策を仕掛けた原監督、その狙いとは
過去にもあった立岡へのノーバント指令
6月30日の巨人-広島戦。巨人が9回、これからもライバルになるであろう完封目前の広島・黒田からサヨナラ勝ちをもぎ取った。8回までは黒田の前に3安打無得点。チャンスを作っても粘りのある投球で本塁が遠かった。
ドラマは最後に待っていた。1点を追う9回裏。長野がヒットで出塁。原監督は2番・立岡に強攻策をとらせた。チーム初安打となった初回のレフト前ヒットなど、長野とともに一番、タイミングが合っていたからだった。
原監督は「足もあるし、あまり小細工せずにいこうと思った」と送りバントのサインは出さなかった。誰もがバントだと思った場面。結果的には空振り三振に倒れた。無策と紙一重だったが、直後、黒田には明らかな変化があった。三振に取った後、セオリーとは違う野球を仕掛けられたことに、怒りがこみ上げたのか。俺を舐めるな、とでも言いたげな表情を浮かべていた。
凡退に倒れたが、原監督は立岡を信じ、一気に2点を取る野球を考えていたのだろう。以前、「自分の中でスコアを考えながら采配をしている」と明かしたことがある。1点では勝ちきれない、という思いもあったのかもしれない。何よりも、打席の立岡への期待が大きかった。
話は2年前の5月15日ロッテ戦に遡る。ソフトバンクから移籍してきた立岡にとって巨人でプロ初ヒットを記録した試合である。