野球をより楽しく安全に 台湾で実施される「楽楽安全棒球」とは?
簡単に、安全に、万人に、を目指し作られたベースボール型スポーツ
野球人気が高い台湾は、過去に、小学生からプロチームのように野球を行う「プロ少年野球チーム」が蔓延していた。その状況から、初心者が野球へ簡単に導入できるよう、誰でも簡単に野球を取り組めるよう、台湾野球協会が主となり、開発した「楽楽安全棒球」が、2000年頃より存在する。学校現場でのベースボール型授業にも採用されるほど、台湾では、一般的になっている。今回は、バットとボール1個で簡単にできる台湾の“楽楽安全棒球”を紹介したい。
台湾野球記者呉政紘氏、Raymond Lei氏に、「楽楽安全棒球」について話をうかがった。
台湾の野球事情は、国の情勢も絡み、やや複雑である。日本以上に根深いプロとアマチュアの関係、今なお問題視される野球賭博など、様々であるが、その1つとして少年野球に関する問題が存在した。
台湾では、「プロ少年野球団」というものが存在した。1970年代、台湾の少年野球は、世界大会で優勝するなど、輝かしい成績を残す一方、各小学校は野球チームを作り、選手の獲得競争を展開した。小学校から高校まで同じ監督の野球一貫校まで存在した。80年代後半以降、野球チームは減少していくが、軍隊式の野球や勝利至上主義による激しい練習によって、台湾の野球は運動神経の良い子どもや野球に人生をかけるといった入り口の狭いものになってしまった。
2000年頃、野球の競技人口が著しく減少していた。当時の台湾野球協会副会長は、息子に野球をさせようとしたが、あまりの入り口の狭さに危機感を覚え、野球をプレーしたことがない子どもが簡単に、安全に、そして万人に行える導入部分としての野球である「楽楽安全棒球」を発明した。