メジャーを席巻する“剛球王” 驚異のキレのスライダーにも脚光「圧倒的な球種」
6月は5試合6イニングに投げて、驚異の12奪三振
2018年のMLBで彗星のごとく現れた剛腕投手がいる。カージナルスのジョーダン・ヒックス投手だ。これまでメジャー最速の投手といえば、ヤンキースの守護神アルディロス・チャップマン投手だったが、今季はこのヒックスが球速ランキングの上位を独占している。
ここまで31試合に投げて2勝1敗1セーブ、防御率2.06の好成績を見せているヒックス。球速が100マイルを超えるだけでなく、そのボールが大きく変化することで、見るものに衝撃を与え、度肝を抜いている。MLBのデータ解析システム「スタットキャスト」による今季メジャーのスピードランキングは5位までがヒックス。最速は105.1マイル(約169.1キロ)となっている。
ここまでカージナルス救援陣の中でも目覚ましい働きを見せている右腕だが、地元紙「セントルイス・トゥデイ」は、この右腕が投じるファストボール、ではなくスライダーに注目。ファストボールとともに、威力抜群のスライダーの切れ味を称賛している。
12日(日本時間13日)に行われた本拠地でのパドレス戦に3番手で登板したヒックス。8回に3者連続三振を奪うなど、2イニングで4奪三振、1人の走者も出さない完璧な投球を披露。同紙はヒックスの「いつも何があっても、上手くいっていてもいなくても、ただゾーンに投げるようにしているんだ。ゾーンに投げれば、自分の投球は活きると思う。ゾーンから外れると、効果的ではなくなるんだ」とのコメントを紹介している。
記事では、6月に入ってヒックスが、5試合6イニングを投げて12個の三振を奪っていることに言及。好投の要因を「ヒックスのスライダーである。パドレス戦で奪った4つの三振のうち3つがスライダーで奪った三振であった。変化球が効果的であるためには、まず直球の制球からはじまる。ヒックスの直球の制球が良ければ、スライダーが圧倒的な球種となる」と指摘。ヒックス自身は「基本的に打者が直球を待っているから、ゾーンの外へのスライダーを投げることで空振りを奪うことができる」と語っている。
球速169キロで、大きく変化するヒックスの“シンカー”に大きな注目が集まるが、そのスライダーの切れ味も必見。チャップマンを超えるスピードスターとなり得るヒックスから目が離せない。