セの“明暗”はなぜ生まれた? 専門家が見たヤクルトと首位阪神の差「言うまでもない」

阪神・佐藤輝明(左)とヤクルト・村上宗隆【写真:小林靖】
阪神・佐藤輝明(左)とヤクルト・村上宗隆【写真:小林靖】

ヤクルト、阪神など4球団で活躍した野口寿浩氏が見たセの明暗

 プロ野球は開幕から約2か月を経過し、30日からセ・パ交流戦に突入する。セ・リーグでは、昨年まで2年連続でリーグ制覇したヤクルトが17勝28敗2分けで“借金11”の5位と、思わぬ低迷。一方で岡田彰布監督が復帰し、開幕前から下馬評が高かった阪神は、順調に首位を快走している。現役時代にヤクルト、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が、明暗が分かれた両チームに着目。浮沈の鍵を握る存在として、双方の4番打者を挙げた。(数字は29日現在)

 これまでのセ・リーグの展開を振り返り、開幕前の予想と比べて最も意外だったのは「ヤクルトの不振です。言うまでもなく、村上(宗隆内野手)が打てないからこうなった、という部分が非常に大きい」と野口氏は言う。確かに、昨季の3冠王がこの時期に打率.217と低迷しているとは、誰も想像できなかっただろう。また昨年までの2年間、1番打者としてリーグ連覇の原動力の1人だった塩見泰隆外野手がコンディション不良で開幕に間に合わなかった。今月4日に1軍に合流したものの、26日に再び戦列を離れたのも、大きな誤算だ。

 投手陣では、守護神のスコット・マクガフ投手(現ダイヤモンドバックス)が抜けた穴を埋め切れていないと見ている。「新守護神の田口(麗斗投手)の成績(18試合11セーブ、防御率2.04)は合格点ですが、その田口が昨年務めていた中継ぎの部分が空いたままで、リリーフ陣全体として安定感を欠いている」と指摘するのだ。先発陣の防御率3.88は昨季の年間3.84と大差ないが、救援陣は昨季の3.03から今季3.75へと大幅に悪化している。

 大きく出遅れたヤクルトにとって、リーグ順位が大きく変動する可能性がある交流戦は、千載一遇のチャンス。昨季は全カードに勝ち越す“完全優勝”を達成した実績がある。野口氏も「私がヤクルトの1軍バッテリーコーチを務めた2018年にも、リーグ最下位で突入した交流戦で12球団最高勝率をマークして、リーグ順位を2位に上げたことがあります」とうなずく。

 浮上の鍵はやはり「1にも2にも村上の打撃」。幸い、3・4月には打率.157と不振を極めていたが、5月は.277と上昇傾向にある。いつの間にか、9本塁打はリーグトップタイ、27打点もトップに3差の同4位タイにランクされている。

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