援護に恵まれない“不運”のGエース 完全復活へ…ラストボールに込めた「意地」

阪神戦に先発した巨人・菅野智之【写真:小林靖】
阪神戦に先発した巨人・菅野智之【写真:小林靖】

当代随一Gキラーとの投げ合いに惜敗

■阪神 3ー0 巨人(1日・東京ドーム)

 巨人の菅野智之投手は1日、本拠地・東京ドームで行われた阪神戦で今季3度目の先発に臨み、7回2安打1失点の快投を演じたが、打線の援護がなくチームは0-3の零封負け。菅野自身も今季2敗目(1勝)を喫した。それでも右肘の張りで大幅に出遅れていたエースは、今季初先発の6月11日・ソフトバンク戦(PayPayドーム)で5回2失点、同18日・楽天戦(東京ドーム)で6回2失点と徐々にイニング数を伸ばし、着実に本来の姿へ近づきつつある。

 ラストボールの110球目が、MAXを叩きだした。1点ビハインドの7回に1死一、二塁のピンチを背負った菅野は、1段ギアを上げる。まずは売り出し中の20歳・前川右京外野手を、インハイの147キロ速球で詰まらせ三飛。続く梅野隆太郎捕手にもカウント1-2からインハイへツーシームを投げ込み、空振り三振に切って取った。この球がこの日最速の149キロを計測。菅野は両手でガッツポーズをつくりながら思わず雄たけびを上げ、この回限りでマウンドを後にした。

「(菅野本人も)手応えを感じていると思いますよ。良かったと思います」と評したのは原辰徳監督。確かに文句の付けようのない内容だったが、相手が悪すぎた。巨人打線は阪神先発の左腕・伊藤将司投手に7回4安打無得点に抑えられ、結局3投手の継投の前に零封負け。菅野にとっては、4回2死から大山悠輔内野手に許した10号ソロが“命取り”となった。巨人は伊藤将に対し昨季と今季の直近2年で、3完封を含め5戦5敗。その間合計40イニングで1点しか取れていない。当代随一のGキラーなのだ。

 菅野は今季3試合に先発し、防御率2.00(18回4自責点)と安定感抜群。ただ、前回先発の楽天戦でも相手先発・岸孝之投手の向こうを張り、5回までスコアボードに「0」を並べたが、1点リードの6回に辰己涼介外野手に痛恨の逆転2ランを浴び敗れた。今季は相手投手との巡り合わせもあって、1試合(9イニング)投げたら味方が何点取ってくれるかの指標である「援護率」は2.00と低い。たとえば、最多勝争い単独トップ(1日現在)の8勝(1敗)を挙げている戸郷翔征投手の援護率5.61とは大きな差がある。

 巨人はシーズンのほぼ半分を消化し、リーグ4位にとどまっているが、首位の阪神との差は5.5ゲームでまだ射程圏内。今後優勝争いに絡んでいくには、菅野の完全復活が不可欠だろう。先発ローテを守り、完投できる状態に戻すことは大前提。さらに打線の援護を受け、白星街道に入りたいところだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY