22回投げてわずか4失点でも0勝の“試練” 恵まれぬ現実も…巨人・戸郷が見せた気概

広島戦に先発した巨人・戸郷翔征【写真:小林靖】
広島戦に先発した巨人・戸郷翔征【写真:小林靖】

小園の打球が右足を直撃も根性の続投7回1失点

■広島 6ー1 巨人(13日・東京ドーム)

 巨人を牽引する戸郷翔征投手に、試練が訪れている。13日に本拠地・東京ドームで行われた広島戦に先発。7回1失点の快投を演じたが、打線の援護がなく、チームも延長11回の末に1-6で敗れた。同日現在、リーグトップタイの8勝をマークしているが、最近3試合はいずれもハイクオリティスタート(HQS=先発して7回以上を自責点2以内で抑えること)を達成しながら、白星がつかず(1敗)足踏みが続いている。

 5回までは順調に無失点。1点リードの6回、相手の4番・松山竜平外野手の渋い適時内野安打で同点に追いつかれたが、続く7回には持ち前の根性を見せた。先頭の小園海斗内野手の打球がワンバウンドで右足を直撃し、痛みに顔をゆがめ足を引きずりながらベンチ裏へ下がったが、応急措置を施すと、走ってマウンドへ。2死後、大盛穂外野手に左線二塁打を許したものの、代打で登場した高卒2年目の新鋭・田村俊介外野手にフォークを振らせて3球三振に仕留めた。

 その裏の攻撃で戸郷に代打を送り、109球で降板させた原辰徳監督も「非常に気迫あふれる投球だったと思いますね。1-1の同点という中、攻撃に転じるというところで(交代させた)。それでも7回を投げ切ったわけですから」と称えた。

 戸郷は今年、侍ジャパンの一員として3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝に貢献した。公式戦開幕後も疲れを見せず、エースの菅野智之投手が右肘の張りで大きく出遅れた中で、巨人の投手陣を牽引してきた。ただ、6月30日には阪神を8回1失点に抑えながら、味方打線も相手先発の西純矢投手から1点しか取れず白星を伸ばせなかった。今月7日のDeNA戦も7回2失点と好投したが、味方の援護が1点のみで今季2敗目を喫した。

依然DeNA東と並び最多勝争いトップ

 この日を含め、3試合連続でクオリティスタート(QS=6回以上を自責点3以内に抑えること)を超えるハイクオリティスタートを達成しながら白星が付いていない。それ以前は、2失点(自責点1)完投勝利を挙げた5月9日・DeNA戦で味方打線が16安打9得点の爆発。7回無失点に封じた6月7日・オリックス戦でも、登板中に8得点(最終的に10得点)の援護があったが、ここにきて相手投手との兼ね合いもあって、流れが少し変わった。

 それでも、今季8勝はDeNA・東克樹投手と並び依然としてリーグトップ。防御率2.27もチームトップでリーグ5位。原監督は「まだまだ途上」と手綱を緩めないが、23歳の右腕の“エース級”の活躍を評価している。オールスター明けも、巨人の浮沈を握ることは間違いない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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