守護神の座を明け渡すも…試行錯誤で進化した“武器” 広島・栗林が復調した理由

阪神戦に登板した広島・栗林良吏【写真:荒川祐史】
阪神戦に登板した広島・栗林良吏【写真:荒川祐史】

7月は防御率0.82、8月も5試合連続無失点で広島リリーフ陣を支える

■広島 7ー6 阪神(15日・マツダスタジアム)

 広島は15日、マツダスタジアムで行われた阪神戦に7-6で勝利し、首位阪神の優勝マジック点灯を阻止した。3点差をひっくり返す逆転勝利を呼び込んだのは、救援投手5人のリレーだった。逆転直後の7回に登板した栗林良吏投手は1回を無失点。広島に傾いた流れを相手に渡さなかった。

 小園の適時打などで3点を奪った直後の7回、栗林は4番手として登板し、1四球を与えるも無失点。150キロを超えるストレートを軸に、阪神打線を封じ込めた。これで5試合連続で無失点投球。勝負の夏、栗林が調子を上げてきている。

 3年目の今季も守護神として期待されていた。しかし、開幕から不調が続き、5月上旬には怪我で離脱。約1か月間、2軍で調整を重ねた。入団当初から栗林の投球を見守り続けた永川勝浩2軍投手コーチと共に、切り札フォークの精度を取り戻すことに時間を使った。

 1軍復帰後の6月中旬には左足を高く上げる投球フォームに変更し、ストレートの球威が増した。「球速は人生で1番出ています。投げる感覚はすごく良い」と栗林も自信を持つ。「もちろんフォークで勝負したい。ただ、フォークに頼りすぎないのが今の投球に活きていると思います」。進化を遂げたストレートが、栗林の武器を引き立てる一役を担っている。

 7月は12試合登板で防御率0.82、8月も5試合連続で無安打無失点投球を継続中。守護神の座は明け渡したが、3年目の試練を乗り越えつつある栗林の復調は、終盤の投手起用に幅を持たせる。「新井(貴浩)監督の気持ちに応えたいのが1番。試練を乗り越えるという気持ちではなく、新井監督に応えたい気持ちだけです」と栗林。逆転優勝を狙うチームで、背番号20が真価を発揮している。

(真田一平 / Ippei Sanada)

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