母親からは「いい加減にして」 大谷の前打ったエ軍ドラ1、誰も信じなかった高速昇格
初昇格で「1番・一塁」で出場したシャヌエル「予想はしなかった」
■レイズ 9ー6 エンゼルス(日本時間19日・アナハイム)
あまりの昇格の早さに家族も友人も半信半疑だった。今夏のドラフト1巡目(全体11位)でエンゼルス入りしたノーラン・シャヌエル内野手(フロリダ・アトランティック大)は、18日(日本時間19日)の本拠地・レイズ戦でメジャーデビューを果たした。ドラフトからわずか6週間。「実現するとは思いませんでした。とても予想外ですが、この機会に挑む準備はできています」。表情は充実感に満ち溢れていた。
昇格即「1番・一塁」で先発出場。次の打者は大谷翔平投手だった。試合前、報道陣から「オオタニの前を打つ自分の姿を想像したか?」と聞かれると、思わず笑みがこぼれた。
「そうは言えませんね。ノーです。そういう予想はしなかったでしょう。ですが思いがけないことが起きるものです」
吉報を受けた前日夜はまったく眠れなかったという。家族や友人は最初、シャヌエルの言うことを信じなかった。母親に電話をすると、起こしてしまったようで「『いいかげんにして』と言われてしまった」。友人たちも「何言ってんだ」と皆同じような反応。「少し説得する必要がありました」と苦笑いする。
この日は家族や友人、ガールフレンドも球場に足を運んだ。そんな中で、2回の第2打席では四球を選び、続く大谷の43号満塁弾をアシスト。さらに、7回にはメジャー初安打を放つと、9回には守備で三重殺を完成させた。試合には敗れたものの、フィル・ネビン監督も「(三重殺を決めたのは)グラウンド上での意識が高いのと本能的な力がある証拠。彼にとってはいい初日だった」と絶賛。“ドラ1”の名に恥じない活躍を見せた。
チームはワイルドカードでのプレーオフ進出圏内からは7.5差と苦しい戦いが続く。それでも試合後、「プロの野球がどういうものかを目の当たりにして、次の段階に進むために必要なことを見せてもらったのが大きい」と学びを崩さない。チームの“カンフル剤”として、新たな風を吹かせたい。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)