心待ちは「月曜日」 野球を離れて缶蹴りも…メジャーリーガーが大切にした“メリハリ”

レッドソックス・吉田正尚【写真:ロイター】
レッドソックス・吉田正尚【写真:ロイター】

ボロボロになった打撃手袋が“勲章”

 どんなに練習が好きでも“休息”は心に効く。レッドソックスの吉田正尚外野手が、幼少期に楽しみにしていたのは「月曜日」だった。「僕は福井で生まれ育ったんですけど、土地が広くて、学校のグラウンドは絶対に確保できる環境でした。だから、ずっとグラウンドで練習ができていたんです。他の部活との(グラウンドの)兼ね合いとかもなかったですね」。野球の練習に熱中した少年時代だが、束の間の「休息」も心待ちだった。

 思い出すように話を続ける。「僕たちのチームは毎週月曜日がオフだった。友達と放課後にする『缶蹴り』がすごく楽しかった記憶がありますね」。週に1度、野球から少しだけ離れてみる。ちょっとした気分転換が、成長につながったのだという。

「火曜から金曜は所属していたチームの練習があって、その後は自宅でティー打撃をしていました。自分で納得が行くまでスイングして、週末は試合。実戦で感じたことを帰り道で消化してしまって、月曜は気持ちを切らして遊ぶ。そんなサイクルでしたね」。幼少期の生活リズムは、プロ野球の世界にも通ずるものがあった。

 火曜日から金曜日は“スペシャルメニュー”もあった。「チームの練習が終わると、1回帰宅してからバッティングセンターに連れて行ってもらっていました。大体いつも2000円分の券を買ってもらって、そこで前から来るボールを実戦のように。決まった球数の中で、1日を仕上げる。そんな感じで毎日、打っていました」。ボロボロになった打撃手袋が“勲章”だった。

 父・正宏さんは行きも帰りも運転手。息子との“ドライブ”は至福の時間だが、「もちろん、家には帰るんですけど、足りない部分の修正がしたいから、(自宅で)ティー打撃です。バッティングセンターで打ち終わって、最後は家のスペース(駐車場)で、おとんにトスしてもらっていました」。日が暮れてもスイングをやめない。長い1日を過ごす吉田にとって月曜日は、束の間の“息抜き”だった。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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