巨人・原監督が惜しむ阪神との“差” 10与四球…「詰めの甘さ」が招いた逆転負け

阪神戦で最後の打者になった巨人・長野久義【写真:中戸川知世】
阪神戦で最後の打者になった巨人・長野久義【写真:中戸川知世】

■なんという言葉で表現していいかわからないね」

■阪神 9ー6 巨人(26日・東京ドーム)

 巨人は26日の阪神戦(東京ドーム)に6-9で逆転負け。宿敵との今季対戦成績は4勝14敗1分(残り6試合)となった。原辰徳監督は投手陣が与えた10四球に首をひねることしきり。痛打を浴びたことよりも、勝負し切れていない現状に苦言を呈した。

「いくつ? 9? 10? そりゃ……なんという言葉で表現していいかわからないね」。原監督は試合後の会見で、苦笑を浮かべるしかなかった。6回までは一進一退のシーソーゲームを展開していたが、7回に阪神の8番打者・木浪聖也内野手に今季1号の満塁本塁打を浴び、一気に突き放された。登板した6投手で与えた10四球が、傷口を広げたと言える。

 勝敗を分けたポイントの1つは、3-2と1点リードして迎えた5回の守りだった。先発の横川凱投手が無死一、二塁のピンチを背負うと、原監督はドラフト5位ルーキー・船迫(ふなばさま)大雅投手にスイッチ。船迫は起用に応え、最速150キロを計測した速球と得意のスライダーで、強打のシェルドン・ノイジー外野手と佐藤輝明内野手を連続三振に斬って取った。

 ピンチ脱出へあと1死。しかし、もう一息が足りなかった。続く坂本誠志郎捕手はこの時点で今季打率.224だったが、カウント3-2から四球を与え、満塁としたのが痛恨。続く8番の木浪にスライダーを中前へ運ばれ、逆転を許した。原監督は「積極的な四球というものも、あるとは思いますよ。でも、“ピッチャーのエラー”と言うべき四球もあると思うね。それをどういう風にバッテリーが考えているか、ということでしょう」と猛省を求めた。

阪神戦に登板した巨人・鈴木康平に声をかける原辰徳監督(中央)【写真:中戸川知世】
阪神戦に登板した巨人・鈴木康平に声をかける原辰徳監督(中央)【写真:中戸川知世】

「とてもいいものを持っているのだから、ここで出さなきゃ!」

 とは言え、この時点ではまだ1点差。試合の流れがどこへ行き着くかは予断を許さなかった。しかし7回、4番手の鈴木康平投手は、先頭の大山悠輔内野手にレフト線二塁打されると、続くノイジーには1球もストライクゾーンへ投げ込めないまま四球を与え、続く佐藤輝もカウント0-2と追い込みながら、そこから四球で歩かせ、無死満塁と追い込まれた。1死後、木浪にスライダーが真ん中高めに浮いたところを右翼席に運ばれ、万事休した。

 鈴木康はこの後、近本光司外野手にも四球を与え、イニング途中で降板。原監督は交代の際、何事か語りかけながら、鈴木康の背中をポンと叩いた。「喝を入れたわけではない。(鈴木康は)東海グループで気心が知れているから。彼はとてもいいものを持っている。『それをここで出さなきゃ!』というところだね」とジョークを交えて明かす。鈴木康の母校である国際武道大は、原監督自身が客員教授を務め、毎年シーズンオフに特別講義を行っている縁がある。

「いいものを持っている」のは鈴木康だけではない。原監督は投手陣全体について「詰めの甘さというところは、ありますね。いい形で2ストライクに追い込んで、あるいは2死を取って、もうひと踏ん張りというところだと思います」と惜しむ。首位を走る阪神と比べても、対戦成績ほどの実力差はないはずだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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