女子中学生が「イメージを変えてくれた」 広島OBの野球観に影響与えた“独自の魅力”

オール広島ガールズ・浅井樹監督【写真提供:広島東洋カープ】
オール広島ガールズ・浅井樹監督【写真提供:広島東洋カープ】

現役時代は代打で活躍…浅井樹氏がオール広島ガールズを率いる

 近年、高まりを見せる女子野球熱。その輪を広げるために、広島球団は中学軟式チーム「オール広島ガールズ」を支援している。オール広島ガールズは、毎年夏に開催される全日本中学女子軟式野球大会に出場するために結成された広島県の選抜チーム。そこで指揮を執るのが球団OBの浅井樹氏だ。現役時代、“代打の切り札”として他球団に恐れられた打者は、女子野球には多くの魅力が詰まっていると感じている。

 浅井氏は元広島外野手で、代打通算154安打の勝負強さを誇った。現役引退後は広島のコーチを務め、2021年に中四国女子野球アンバサダーに就任。昨年6月にオール広島ガールズの監督に就任し、子どもたちに野球の魅力を伝えてきた。

 監督として女子野球の指導に携わるようになり、野球に対して抱いていたイメージに変化があったという。「選手たちはとにかく明るく楽しくやっている印象が強い。僕らの時代は、野球と言ったら泥臭くて根性論のしんどいイメージがありましたが、選手たちがそのイメージを変えてくれましたね」。

 ランナー三塁でエンドランのサインが出るなど、戦術やプレーなどで男子との違いを実感する一方、女子独自の魅力にも改めて気付かされた。「女性プレーヤーならではの動きのしなやかさも見てほしいですが、1番は選手たちが明るく必死にプレーしている姿が魅力だと思います。女の子が野球を選ぶわけですから、心底好きなんでしょうね。選手たちと一緒に野球をするようになり、“野球ってこんなに楽しいんだな”と思い出せてもらっています」と笑顔で明かした。

昨年は新型コロナの影響で断念…初采配に「血が騒いでいました」

 オール広島ガールズは、8月17日に始まった「第8回全日本中学女子軟式野球大会」に出場。19日の2回戦で城南鵬翔クラブ(東京第2)と対戦した。4回終了時点で1点差だったが、5回以降ミスから失点を繰り返すと最後まで流れを取り戻せず、2-7で敗れた。

 実は浅井監督は、この日が公式戦初采配。ベンチで誰よりも声を出し、ピンチの場面ではマウンドに足を運び選手を励ました。「1番テンションが上がっていたのは自分かもしれません。ワクワクしたし、久々に真剣勝負したなという気持ち。血が騒いでましたね」。昨年の同大会、浅井監督は新型コロナウイルスに感染して指揮を執ることができなかった。それだけに、初めてユニホームを着るこの日を誰よりも待ち望んでいた。

「大前提として野球を楽しんでもらいたいという気持ちがありますが、試合をやる以上は勝ちたい。試合もピンチの連続でしたが、それを乗り越えた時に自信ってつくものですから。選手たちにはそういうシチュエーションを数多く経験させてあげたい。それを経験して勝つと、さらに野球を楽しく感じてくれると思っています」

 惜しくも初陣を飾ることはできなかったが、浅井監督はプロ野球経験者として、今後も女子野球をサポートしていく。「女性がこれだけ楽しそうに野球をやっているんだという姿をまず見てもらいたいですね。球団が支援することで、野球に興味を持って野球をやってみたいと思う女の子が増えていってほしい」と女子野球の未来に期待を寄せている。

(真田一平 / Ippei Sanada)

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