158キロ計測でも「まだ改善できる」 ドラ1候補の東洋大・細野が見せた破格の力量

壮行試合に登板した大学日本代表・細野晴希【写真:矢口亨】
壮行試合に登板した大学日本代表・細野晴希【写真:矢口亨】

それでも不満「バットに当てられたり、ファウルにされたりした」

 今秋ドラフトの1位候補、東洋大の左腕・細野晴希投手は28日、東京ドームで行われた「侍ジャパンU-18壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表」に、大学日本代表の5番手として登板。自己最速を一気に3キロ更新し158キロを計測するなど、破格の力量を見せつけた。

 東京ドームに足を運んだ2万5943人の熱い期待を、軽々と超えた。5回に登場した細野は、先頭の小林隼翔内野手(広陵)に対し、カウント0-2からファウルさせた3球目のストレートが、これまでの自己最速155キロを1キロ上回る156キロを計測。続く4球目のストレートも156キロで、今度は小林のバットが空を切り三振に仕留めた。

 続く知花慎之助外野手(沖縄尚学)は3球三振。最後の球が「157キロ」と表示された瞬間、歓声は驚愕のどよめきに変わった。そして3人目の緒方漣内野手(横浜)に対し、カウント1-2から、高めにすっぽ抜けた4球目が「158キロ」を計測。結局、緒方は6球目の154キロをバットに当てるのがやっとで、右飛に倒れた。細野はこの回を3者凡退に抑え、短い“ショー”を終えたのだった。

「出力的に上がってきましたが、まだバットに当てられていたり、ファウルにされたりしていたので、そこはまだ改善できると思います」。年下の高校生が相手とはいえ、これでもまだ不満げなのだから恐れ入る。

注目度上げ9月2日に東都大学秋季リーグ開幕

 普段はスプリット、カットボールなども駆使するが、この日は13球中12球がストレートで、そのうち150キロに届かなかったのは、先頭・小林に対する初球の148キロのみ。変化球は、知花への2球目に投じたスライダーだけだった。「進藤(勇也捕手=上武大)が真っすぐのサインを出したので、それに従って投げました」と事もなげで、「変化球を投げたら楽だな、というところも何回かありましたが、真っすぐだけのピッチングも、それはそれで自分なりに楽しかったので、よかったと思います」と余裕しゃくしゃくだった。

 大幅な自己最速更新については、「特に変わったことはしていません。強いて言えば、今までは少し疲れた状態で投げていたので、最近トレーニングの量を減らしたことで、体が軽く、いい状態で投げられているのが1つの要因かなと思います」と自己分析。それまでに積み上げた、圧倒的な練習量があったからこそだろう。

 細野がエースを張る東洋大は、今春の東都大学リーグ2部で優勝し、1部最下位の駒大との入れ替え戦も制して、9月2日に愛媛・坊っちゃんスタジアムで開幕する秋季リーグでは、5季ぶりに1部に復帰する。「今日は自分の出力が上がっているかどうかを確かめたかった。そういう意味では、秋につながる試合だったのかなと思います」とうなずいた細野。さらに注目度を増し、学生生活最後のシーズンに臨む。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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