大谷翔平の「心理状態は変わる」 エ軍は“解体”…番記者が予測する契約への影響
エンゼルスは主力6選手をウェーバーにかけたと米メディアが報道
大谷翔平投手の所属するエンゼルスは29日(日本時間30日)、ルーカス・ジオリト投手ら主力6人をウェーバーにかけたと米メディアが報道した。今オフFAになる選手を放出し、チーム総年俸を削減するのが狙いとみられる。大谷翔平投手の契約にはどう影響するのだろうか。
「一連の動きは、今シーズン白旗をあげたことを意味する。(総年俸を)節約するためにやったことだけど、ギブアップを宣告したように感じるから、印象はよくない」
そう落胆するのはMLB公式サイトのエンゼルス番を務めるレット・ボリンジャー記者だ。今回ウェーバーにかけられた6選手のうち、ジオリト、ドミニク・リオン投手、レイナルド・ロペス投手、ランダル・グリチック外野手の4人はシーズン途中に加入した。チームはトレード市場で“買い手”に回ったが、8月に入って急失速。今回の措置はプレーオフを諦め、実質補強の失敗を認めるようなものといえる。
報道があった後の敵地・フィリーズ戦では13安打12失点を喫し大敗。8月は7勝19敗と大きく負け越している。同記者は「(ポストシーズン進出は)難しいというか、ほぼ不可能だ。残りのシーズン、若手を起用するだろう。ムーアとロペスはブルペンでいい成績を残しているし、ジオリトも成績こそ残せていないが、実績がある。グリチックもそうだ。レンフローは過去の成績と比べるとまあまあだが、(彼も)実績を残しているので、獲得されるだろう」と全選手の移籍を予測した。
大谷翔平との契約への影響は「FAに関してはそれほど状況は変わらない」
では、今回の“解体”は今オフの大谷との再契約にどう影響するのか。ここまでエンゼルスは再契約のために尽力してきた。同記者は「気になることだけど、それほど影響しないだろう」と話す。今回ウェーバーで6選手が移籍したら、チームは約700万ドル(約10億2100万円)を節約できる。しかし、大谷が結ぶと予想される5億ドル(約731億円)を超える契約からしたらわずかだ。
「それほど節約できる訳ではない。FAに関してはそれほど状況は変わらない。ショウヘイが得る契約を考えたら、700万ドルは微々たる金額だ」
一方で気になるのが、大谷の心情だ。2021年には「ヒリヒリする9月を過ごしたい」とプレーオフへの思いを口にしていた。今季はプレーオフ進出を目指して補強に踏み切ったものの、9月を前にチームは完全にチーム再建にかじを切った。「(これから)エンゼルスは毎試合、勝つためにはプレーしていないことになる。残るシーズン、彼のメンタリティ(心理状態)は変わるだろう」と察する。「(右肘の)手術が必要であれば、チームはもうベテラン選手を必要としていないので、今のうちにやってしまうかもしれない」とも推測した。
この時期のウェーバー放出は若手有望株を獲得できるわけでもなく、年俸の節約以外にメリットはない。大谷との再契約までなくなったら……。エンゼルスの未来は厳しくなってくる。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)